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海外サッカー

「歩くだけで試合を支配する」メッシと「試合を壊す」ヤマル…識者が絶賛した異次元の才能【W杯】

下村正幸

2026.07.09

スペインとアルゼンチンの対戦は決勝のみ。ヤマル(左)と<br />
メッシ(右)の対決はぜひ見たいものだ。(C)Getty Images<br />
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右実現してほしいものだ

スペインとアルゼンチンの対戦は決勝のみ。ヤマル(左)と
メッシ(右)の対決はぜひ見たいものだ。(C)Getty Images

































右実現してほしいものだ

 ビッグネームの活躍が目立っている北中米ワールドカップにおいて、アルゼンチン代表とスペイン代表を牽引しているのがリオネル・メッシとラミネ・ヤマルだ。バルセロナの育成組織「ラ・マシア」育ちの2人は、前者は年齢による衰え、後者は故障明けという不安を抱えて大会を迎えたが、エースに相応しい存在感を放っている。

 広告・マーケティング界のトップエグゼクティブであり、コラムニストとしても活動しているエンリク・ジョベ氏は、次のように両者を分析している。

「フットボールには、単に試合に関与する選手と、その存在だけで試合の構造そのものを変えてしまう選手がいる。メッシとヤマルは、間違いなく後者のカテゴリーに属するが、その一方で2人のピッチ上の振る舞いは対照的だ。右サイドを主戦場とするヤマルの影響力は、決してそのゾーンだけに留まらず、ピッチ全体を揺さぶる。彼がボールを受けるたび、スペインは縦へ抜けるか、中へ切り込むか、加速か、休止か、クロスか、シュートかという新たな問いをピッチに突きつける。この敵に与える不確実性こそが、彼がもたらしている純然たる価値だ。時に真面目すぎ、パスを繋ぐだけの退屈な学校の授業のようになりがちなスペイン代表において、ヤマルはストリートが持つずる賢さと反逆性を持ち込む。戦術プランを壊すのではなく、そこに鋭利な牙を与えるのだ」

「対するメッシは、もはや特定のゾーンで生きる必要がない。彼の圧倒的な存在感は物理的な移動ではなく、引力によるものだ。ただ歩いているだけで試合を支配し、ペナルティエリアから遠ざかることで逆にアルゼンチンをゴールへと近づける。何分間もプレーに関与していないように見えて、突如として平凡な局面を自分だけの決定的な瞬間に変えてしまう。アルゼンチン代表は一つの生命体として機能しているが、同時にある確信を共有している。ライン間のどこかで、メッシが他の誰も見つけ出さなかった数的・戦術的優位性を必ず見つけ出す、というものだ。ヤマルは試合を加速させる『破壊』であり、メッシは試合を解釈する『意味』だ。一方は目まぐるしい混沌から、もう一方は緻密な読みから局面を打開する」
 
 戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏は、現在のヤマルの状態を「70%」としながらも、オーストリア戦後に「果敢にドリブル突破を仕掛けることで、相手はラインを下げ、安定と自信を失っていった。スペインが自分たちは優れていると確信できたのは、それを完全に信じ込ませる特別な個がいたからだ」と評価した。

 一方、かつてバルサのスポークスマンを務めた経験のあるジャーナリストのジョルディ・バディア氏は、「ボールのないところでのメッシの動きを視野の片隅で追いかけるだけで、彼の偉大さが理解できる。それは巷で安易に言われるような、単に体力を温存しているのではない。天性の本能、磨き上げた才能、数々の試合の経験から培われた唯一無二のインテリジェンスに他ならない」とメッシを称賛する。

 エンリク・ジョベ氏はこう締めくくっている。 「ヤマルとメッシは、それぞれの代表チームがどうありたいかと志向する形を体現している。スペインは牙を失わずにゲームを支配したい。アルゼンチンは魔法を失わずにコンペティティブさを維持したい。片方にはフットボールの未来が、もう片方には最も輝かしい記憶が宿っている。彼らはその存在だけで、チームという組織に完全な意味を与えられるプレーヤーなのだ」

 バルサの新旧10番が異なる形で推進力となって、アルゼンチンとスペインは準々決勝に勝ち上がった。両雄が顔を合わせるとすれば、決勝がその初舞台となる。

文●下村正幸

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