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「10年前には想像できなかった」 “浪人状態”の香川真司と“王者”レバンドフスキをポーランド記者が対比…

THE DIGEST編集部

2020.10.30

サラゴサとの契約を解除した香川の新たな所属先はまだ決まっていない。(C)Getty Images

 ラ・リーガ2部のサラゴサと契約を解除して以降、香川真司はひとりトレーニングに励みながら、新たな所属先が決まるのを待っているが、新シーズンが開幕してかなりの日時が過ぎた今なお、その時はやって来ていない。

 ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッドでプレーし、世界レベルで高い評価を受けた31歳の日本代表MFが、いまだ浪人状態であることについて、ポーランドの総合サイト『GAZETA.PL』が「このようなことになるとは、10年前には想像もできなかった」と言及している。

 同国のジャーナリストであるアントニ・パルトゥム氏によるこの記事の中で、10年前、香川について同国のコメンテーターであるロマン・コルトン氏が「ダイヤモンドだ。素晴らしい才能である」と絶賛すると同時に、「"彼"にもそのような才能を持ってほしい。香川は素晴らしいが、彼はそうではない」と語ったことが紹介されている。

 この「彼」とは、ロベルト・レバンドフスキのことだ。今や押しも押されもせぬ世界レベルのストライカーであり、今年、バロンドールの選定がコロナ禍で中止にならなければ、間違いなく受賞したといわれる彼も、10年前はレフ・ポズナンからドルトムントに加入したばかりの22歳で、途中出場に甘んじていた。

 一方の香川は、レバンドフスキと同じ年にドルトムントの一員となり、こちらはいきなり主役として国内外の舞台で活躍。年明けのアジアカップで骨折して後半戦の大部分を棒に振ったものの、ブンデスリーガの年間ベストイレブンにも選出されている。

 パルトゥム氏は「10年前、誰もレバンドフスキが世界最高のストライカーになるとは思っていなかったし、香川が31歳で所属クラブを失い、より良い明日を期待できない状態になるということも、誰もが予測できなかった」と綴る。

「21世紀になっても、欧州サッカーを"征服"した日本のサッカー選手は多くない。セリエAで200試合近くプレーした中田英寿が開拓者で、現在は19歳の久保建英、21歳の冨安健洋、25歳の南野拓実といった人気者がいるが、本当に素晴らしいキャリアを持ったのは香川だ」
 
 こう断言するパルトゥム氏は、香川が素晴らしいテクニック、ゲームのビジョン、視野の広さ、コンビネーションプレーのセンスの持ち主であり、ドルトムントで数々のタイトル獲得に貢献したこと、2012年にマンチェスター・ユナイテッドに「わずか1600万ユーロ」で売却されたことなど、彼の輝かしいキャリアを紹介している。

 しかし、一方で「赤い悪魔」では本領を発揮できずにドルトムントに復帰し、その後、構想外となってトルコのベジクタシュにレンタル移籍、スペインのサラゴサでは給料削減にも同意したのに契約を解除されたこと、そして現在、数々の噂が上がりながらも実現していないことなど、キャリアのネガティブな部分にも言及した。

 香川の今後については「オランダのクラブを探すべきではないだろうか?」と提案。「同国には、かつて香川がドルトムントで魅惑のデュオを組んだマリオ・ゲッツェ(PSV)が新たなスターとして加入した。プレースタイルが似ていて、同じくキャリアの再建を誓う者同士という共通点がある」と理由を挙げた。

 そして、この記事は「一方のレバンドフスキ――かつてルーカス・バリオスの代役だった男は今、クリスチアーノ・ロナウドやリオネル・メッシと争っている」と締められている……。

 移籍したバイエルンで絶対的な存在となって欧州王者にも輝いた、かつてのチームメイトとの好対照ぶりを強調されることとなった香川。厳しい現実を突きつけられる格好となったが、まだ諦めていない日本の「ダイヤモンド」がここからいかなる"反撃"を見せるかに期待したい。

構成●THE DIGEST編集部