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ロシアのAFC仰天加盟プランは「後退を意味する」。元代表選手は「強豪国と戦えないのは打撃だ」と反発を口に

THE DIGEST編集部

2022.03.30

ヨーロッパで実績を積みながら、国内の競争力を高めてきたロシア。それだけにAFC参加には、反発の声が上がっている。(C)Getty Images

 ウクライナへの軍事侵攻によって、ロシアは各国で独自の制裁を受けている。それはスポーツ界も例外ではなく、ありとあらゆる団体・組織において厳罰が下されている。

 サッカー界においても処分は厳しくなる一方だ。今月1日にIOC(国際オリンピック委員会)がロシアの選手、指導者に対して国際大会への参加を禁止するように各競技連盟へ勧告を発表。すると、それに倣うようにUEFA(欧州サッカー連盟)は、クラブ、代表の両レベルで国際コンペティションへの出場禁止を決定。FIFA(国際サッカー連盟)も、同国が持つ会員資格の無期限停止処分を科す可能性があるとされている。

 自国の軍事行動によって、ますます苦境に追い込まれているロシア・サッカー界。そうしたなかで、あるニュースがクローズアップされている。それはUEFA脱退後のAFC(アジア・サッカー連盟)への転籍の可能性だ。

 もっとも、これは現地時間4月1日にカタール・ドーハでW杯組み合わせ抽選会とともに開催されるFIFA総会での処分次第ではある。だが、ロシア・メディア『GLAS』によれば、国際舞台での活動の場を追われた彼らにとって、AFC加盟が起死回生の策になり得るというのだ。

 しかし、国内では、この仰天プランには厳しい声が上がっている。ロシア代表として通算53キャップを数えるアレクサンドル・サメドフは、国内のスポーツ専門メディア『Championat』のインタビューで「ヨーロッパからの離脱はダメージだ」と持論を語っている。

「アジアに行くことはロシア・サッカー界にとって大きな打撃になる。たしかに現状を変えるための抜け道になるかもしれない。だけど、クラブチームがチャンピオンズ・リーグやヨーロッパ・リーグに出場できなくなって、代表もいまのように強豪国と対戦できなくなるのは、間違いなくダメージになるよ。本当に救いになるのかなとは思う」

 また、『Championat』は別の分析記事において「ロシアの目標は2026年のワールドカップに出ることにある。そのために理想的なシナリオはUEFAの失格処分が1年間だけになること」と主張。そのうえで、次のように断じている。

「たしかにUEFAを通してワールドカップに参加するのは、現時点ではかなり厳しいものがある。そういう意味ではアジア行きはプラスだ。しかし、他国の代表チームやクラブチームのレベルを考えれば、AFCへの加盟は私たちのサッカーにとって後退を意味する。ヨーロッパと分裂しても、何もいいことはない」

 現時点でAFCへの加盟は「会話のレベルのもの」(元ロシア代表のアンドレイ・カンチェルスキス談)とされており、噂の域は出ていない。はたして、日本の脅威にもなり得る決定は、日の目を見るのか。スポーツ界を揺るがす動向だけに引き続き注目だ。

構成●THE DIGEST編集部