専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
日本代表

堂安律を超える輝き!オランダ代表のクーマン監督も絶賛するPSVの17歳が凄い

中田徹

2019.11.23

17歳で堂々レギュラーを張るイハッターレンが赤丸急上昇中だ。(C) Getty Images

17歳で堂々レギュラーを張るイハッターレンが赤丸急上昇中だ。(C) Getty Images

 17歳でPSVアイントホーフェンのレギュラーに定着し、眩い輝きを放っているのが、モハメド・イハッターレンだ。日本代表MF堂安律とともにチームの攻撃の一翼を担い、「オランダの未来」とも謳われる超新星に迫る。

 オランダのユトレヒト出身のイハッターレンは、幼少期から評判の逸材だった。アヤックス、フェイエノールトも当然目を付けていたが、本人が選んだのはPSVだった。同じくユトレヒト出身で、同じくモロッコ系のイブラヒム・アフェライに憧れていたからだ。

 ユースアカデミーはあっという間に駆け抜けた。2019年1月、16歳でトップチームデビューを果たした。それでもマルク・ファン・ボンメル監督は慎重だった。金の卵を潰してしまわぬように、注意深く出番を選びながら実戦経験を積ませていった。その18-19シーズンはエールディビジの12試合に出場しながら、トータルの出場時間は394分。ほぼ4試合分だった。

 今シーズンも大事に使っていこうというチームのその方針が、いわばひっくり返ることになったのが、3節のヘラクレス戦だった。先発でピッチに立つと58分、鮮やかなゴールを決める。左サイドからの折り返しに左足のダイレクトで合わせ、右隅を測ったように射抜いたその一撃は、ファン・ボンメル監督を納得させるに十分だった。
 
 オランダ中にその名を轟かせるのは7節のアヤックス戦だ。このライバルとの大一番で放ったのが強烈な閃光だ。左足の強烈なFKで名手アンドレ・オナナを脅かし、足に吸い付くようなドリブルで3人を抜き去り右のハーフスペースを深く抉る。背後から押されてもビクともしないフィジカルの強さも見せつけた。

 識者からも称賛が相次いだ。元オランダ代表のラファエル・ファン・デルファールトが、「こんなに素晴らしい17歳を見るのは2001年以来だ」と冗談めかしながらも自身と重ね合わせて賛辞を贈れば、同じく元代表のピエール・ファン・ホーイドンクは「(アヤックス戦の)ピッチで最高のプレーヤーだった。セードルフ以来(のタレント)だ」と、同じく16歳でデビューしたレジェンドになぞらえた。

 アヤックス戦をきっかけにファンがこのニューヒーローに心を寄せたのは、彼の苦しみを知ったからでもあった。試合後のインタビューだった。「オランダ代表とモロッコ代表のどちらを選ぶのか?」と、話題になりつつあった代表問題に触れたレポーターの質問に対し、「父が重い病気にかかっているんだ。いまは重要な決断を下す時ではない」と沈痛な面持ちで答えるその姿が胸を打ったのだ。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号