専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
日本代表

結果論や運で片付けたくないPK戦。一瞬で勝負を決するからこそ突き詰めたい技術「準備不足で臨むのは愚か」【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.12.10

リバコビッチの好守に阻まれたクロアチアとのPK戦。この時の日本には賛否両論が渦巻いた。(C)Getty Images

リバコビッチの好守に阻まれたクロアチアとのPK戦。この時の日本には賛否両論が渦巻いた。(C)Getty Images

 一見すると簡単そうに見えるが、実は奥が深い。サッカーにおけるPKはまさにそうだ。キッカーは距離にして12ヤード(約10.97メートル)の位置にボールを置き、GKと“1対1”で対峙するそれは、文字通り一瞬にして両チームの命運を分けてしまう。

 去る12月5日に行なわれた日本代表とクロアチア代表によるカタール・ワールドカップの決勝トーナメント1回戦は、まさに明暗が分かれる結果となった。

 1-1で互いに譲らず迎えたPK戦で、日本の3人(南野拓実、三笘薫、吉田麻也)が相手守護神ドミニク・リバコビッチに食い止められたのに対し、クロアチアは3人が難なくキックを成功。見事に3-1で勝利してベスト8に駒を進めたのである。

 試合後、キッカー人選が選手たちによる挙手制であった点や森保一監督が「結果を掴み取れず選手に責任を負わせてしまった部分で、私が全て決めた方が選手にとっても良かったのかな」と語るなど、日本のPKにおける“準備不足”だったのではないかという見方がSNSを中心に高まった。

 無論、「PKは運」であり「緊張感のある局面で蹴った選手たちの勇気を称えたい」と擁護する声も大いにあったわけだが、指揮官がテレビ番組で「準備の仕方が足りなかった」と漏らしたために、ネガティブな意見も多く噴出したのである。
 
 実際、あらゆるデータを簡単に手に入れられる昨今のサッカー界は、キッカーやGKの傾向が数字となって現れる。だからこそ、PKは「運」だけに任せてはいけないものに変化してきているのだ。

 この変化について、米スポーツ誌『Sports Illustrated』で執筆するジャーナリストのベン・リトルトン氏は、12月2日に掲載した記事内で「PK戦が運によって左右されると考えているのか? もうそうじゃない。とくに精神的な勝負が増えるワールドカップでは、準備不足で臨むのは愚かだ」と指摘している。

 PKについて「屈強なアスリートを、泣きじゃくる子どもに変えてしまうほど恐ろしいものだ」と指摘するリトルトン氏。彼はGKとキッカーはもちろん、コーチ、心理学者に加え、ゴルファー、ラグビーのキッカーなどPKに似た状況下でプレーするアスリートへの取材を敢行。そのうえで「勝つチャンスはある。心理的な部分よりも後回しにされがちだが、訓練すれば上達する技術なんだ」と結論づけている。

「もちろん、準備をしても必ず勝つという保証はない。しかし、EURO2020の決勝でPK戦の末にイタリア代表に敗れたイングランド代表のガレス・サウスゲイトは運のせいにしはしなかった。彼は『私が蹴る人間を選んだんだ。私の責任だ』と言った。意図的に練習し、心理学に焦点を当てるのは、シュートの成功を100%保証するものではない。だが、間違いなく勝つチャンスを向上させるものだ」

 サッカー史においては、ロベルト・バッジョ(元イタリア代表)やディエゴ・マラドーナ(元アルゼンチン代表)など多くの名手たちでさえもPKを失敗してきた過去がある。だからと言って、「運」や「結果論」という言葉だけで済ませてはいけないのではないか。とくに日本がベスト8の壁を突き破るためには、PKこそ細部にこだわり、技術を突き詰めなければいけないはずだ。

構成●THE DIGEST編集部

【関連記事】「マナーも最悪だった」相手に苛立って“暴言”のC・ロナウドに韓国メディアで非難の声!「最後の最後までなってない」

【関連記事】「なぜルールを守らないのか?」クロアチアの“最も美しいファン”の投稿が再び炎上!「これは恥ずべき行動だ」【W杯】

【関連記事】「日本戦が僕らに影響」独代表DFリュディガーが衝撃敗退を語る。“挑発行動”が物議の自己評価は?「批判は免れられない」
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号