かつて日本代表監督を務め、2002年の日韓ワールドカップ（W杯）で史上初のベスト16進出を果たしたフィリップ・トルシエ氏が、ベトナム代表監督就任が決定的と報じられている。トルシエ氏は、2002年のW杯終了とともに日本代表監督の座を離れると、その後はカタールやモロッコでも代表チームを率い、フランスや中国ではクラブチームの指揮も執っている。また2019年からおよそ２年間、ベトナムU-19の監督として育成年代での指導も行っていた。
 
　日本をはじめ、世界各国での経験、実績が豊富なフランス人指揮官の就任はベトナム国内でも大きく報じられており、ベトナムのニュースサイト『Bao Kien Thuc』では、日本代表監督時の功績を中心にトルシエ氏の足跡を辿っている。

　その中では「1998年９月に日本サッカー協会と契約を結んだトルシエはハンス・オフト(オランダ)、ファルカン(ブラジル)に続いて、日本チームを率いる３人目の外国人監督となった」と綴っており、トップチームの他、U-20と五輪代表を率いていたことも紹介している。

　その上で「成功はすぐにやってきた」として1999年ナイジェリア・ワールドユースで決勝に進出したことにも触れており「日本がFIFAトーナメントの決勝に進出したのはこれが初めてだった。彼はまた、2000年シドニー・オリンピックでは準々決勝に進出した」とアンダー世代での実績を列挙。

　加えてA代表での初タイトル獲得を評しており「オリンピックのわずか数週間後、トルシエは日本チームを２度目のアジアカップ優勝に導いている。『蒼きサムライ』のこの勝利は、わずか６試合で21ゴールという記録を作った」として、2000年レバノン・アジアカップでの戦いも振り返った。

　同メディアは「トルシエは日本を2002年ワールドカップのベスト16まで導いた後、別れを告げた。 彼は日出ずる国のサッカーに多くのものを残した」と日本での指導歴を称えており、他にも2020年にベトナムU-19監督時代、日本サッカー殿堂入りとなったことも記している。

　指導者として、主にアフリカやアジアでのクラブ、代表監督を歴任したトルシエ氏は、日本サッカーの発展にも多大な貢献を果たしてきたことは間違いない。現在、アジアの中でポテンシャルを放ち続けているベトナムのサッカーをさらに成長させ、今度は強大な敵として日本と相対する時も、そう遠くはないのかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部
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