昨年12月にカタールで行なわれたワールドカップ(W杯)において、日本代表の快進撃は小さくない話題となった。
【動画】名手ノイアーの牙城を打ち崩したゴラッソ! ニアを打ち抜いた浅野の逆転弾
決して高くなかった大会前の下馬評を覆し、スペイン代表とドイツ代表を破ってグループステージを突破した彼らの躍動は、文字通りのビッグサプライズとなった。惜しくもベスト8入りは果たせなかったが、健闘を見せたサムライブルーには賛辞が相次いだ。
一方で、悲嘆に暮れたのがドイツだった。
ハンジ・フリック体制の下で、優勝候補の一角に挙げられていた欧州の雄だが、大会初戦で日本に“よもや”の逆転負け。4年前のロシアW杯でもグループ敗退の憂き目に遭っていた彼らは、相当なプレッシャーに晒された結果、精彩を欠いて、涙をのんだ。
優勝候補に目されるほどに強かったドイツはなぜ、早々に大会から姿を消したのか。その内幕を、欧州でも展開されている米メディア『The Athletic』において守護神マヌエル・ノイアーが明かしている。
「国からのサポートは比較的少なかった。2010年大会の熱量と比べたらね。これまでにないほど政治的な問題だけが注目されたんだ。大会前にオマーンでやった合宿以降で、僕らは相当な重荷を背負わされることになった。今になって思えば、もっとサポートがあってもよかったかもしれない。そうすれば、よりスポーツに、あの日本戦に集中できたはずだ」
36歳の守護神が言う「政治的な問題」とは、LGBTQ(性的少数者)の権利への連帯を表した行動に対するものだ。当初、チームの主将を務めるノイアーは、「ONE LOVE」と記された虹色の腕章を腕に着用する予定だった。だが、同性愛を禁ずるカタールにあって、一連の行動を問題視した国際サッカー連盟(FIFA)が、イエローカードの提示などの制裁を科すと警告。着用を断念せざるを得なかったのである。
そうした背景があり、日本戦の前にはFIFAの警告に対する抗議として口を手で覆うパフォーマンスも披露したドイツ。しかし、これによって彼らに対する政治的な批判の声が連日噴出し、試合に集中しているどころではなかったという。
日本戦を前にしたチーム状況について「とにかくサッカーに集中しようとしていた」と話すノイアーは、「サッカーに集中した。あの試合(日本戦)だって、前半は支配できていた。ピッチ上では誰もその話題(政治的問題)は頭になかった」と断言。そのうえで『このままいければ、2-0か3-0で勝てる』と感じていた」とも明かし、こう続けた。
「僕らがグループ敗退になったのは、全部があの日本戦の後半のせいだ。言葉にできないほど酷かったんだ。最悪さ。(1-1だった)スペイン戦は今大会でもベストバウトのひとつと言われるぐらいに良かった。コスタリカ戦もOKだった。でも結局、得失点差で敗退してしまった」
勝てる――。そんな慢心に似た感覚がドイツにあったのかもしれない。いずれにしても、あの日本代表戦が大国の運命を定めた。
構成●THE DIGEST編集部
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決して高くなかった大会前の下馬評を覆し、スペイン代表とドイツ代表を破ってグループステージを突破した彼らの躍動は、文字通りのビッグサプライズとなった。惜しくもベスト8入りは果たせなかったが、健闘を見せたサムライブルーには賛辞が相次いだ。
一方で、悲嘆に暮れたのがドイツだった。
ハンジ・フリック体制の下で、優勝候補の一角に挙げられていた欧州の雄だが、大会初戦で日本に“よもや”の逆転負け。4年前のロシアW杯でもグループ敗退の憂き目に遭っていた彼らは、相当なプレッシャーに晒された結果、精彩を欠いて、涙をのんだ。
優勝候補に目されるほどに強かったドイツはなぜ、早々に大会から姿を消したのか。その内幕を、欧州でも展開されている米メディア『The Athletic』において守護神マヌエル・ノイアーが明かしている。
「国からのサポートは比較的少なかった。2010年大会の熱量と比べたらね。これまでにないほど政治的な問題だけが注目されたんだ。大会前にオマーンでやった合宿以降で、僕らは相当な重荷を背負わされることになった。今になって思えば、もっとサポートがあってもよかったかもしれない。そうすれば、よりスポーツに、あの日本戦に集中できたはずだ」
36歳の守護神が言う「政治的な問題」とは、LGBTQ(性的少数者)の権利への連帯を表した行動に対するものだ。当初、チームの主将を務めるノイアーは、「ONE LOVE」と記された虹色の腕章を腕に着用する予定だった。だが、同性愛を禁ずるカタールにあって、一連の行動を問題視した国際サッカー連盟(FIFA)が、イエローカードの提示などの制裁を科すと警告。着用を断念せざるを得なかったのである。
そうした背景があり、日本戦の前にはFIFAの警告に対する抗議として口を手で覆うパフォーマンスも披露したドイツ。しかし、これによって彼らに対する政治的な批判の声が連日噴出し、試合に集中しているどころではなかったという。
日本戦を前にしたチーム状況について「とにかくサッカーに集中しようとしていた」と話すノイアーは、「サッカーに集中した。あの試合(日本戦)だって、前半は支配できていた。ピッチ上では誰もその話題(政治的問題)は頭になかった」と断言。そのうえで『このままいければ、2-0か3-0で勝てる』と感じていた」とも明かし、こう続けた。
「僕らがグループ敗退になったのは、全部があの日本戦の後半のせいだ。言葉にできないほど酷かったんだ。最悪さ。(1-1だった)スペイン戦は今大会でもベストバウトのひとつと言われるぐらいに良かった。コスタリカ戦もOKだった。でも結局、得失点差で敗退してしまった」
勝てる――。そんな慢心に似た感覚がドイツにあったのかもしれない。いずれにしても、あの日本代表戦が大国の運命を定めた。
構成●THE DIGEST編集部
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