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破壊力ではバルサが上? 5連勝で首位に立つマドリーは「ベリンガムが9番不在の問題を“隠蔽”しているだけ」との見方も

下村正幸

2023.09.20

5節終了時点で3ゴールのレバンドフスキ(左)と5ゴールのベリンガム(右)。(C)Getty Images

 タレントの流出が叫ばれているラ・リーガ。その最も顕著なポジションの一つがFWだ。今シーズンの開幕前には、得点王レースを予想しようにも、最大のライバル、カリム・ベンゼマがレアル・マドリーを離れたことで、昨シーズンのタイトルホルダーであるロベルト・レバンドフスキを脅かす対抗馬の名前がなかなか出てこないのが実情だった。

 しかもその大本命が苦しんでいる。ゴール以外でも大きな貢献を見せるバルセロナの9番が、今シーズンはシュートを打つ機会が減っているばかりか、ボールロストからピンチを招いたり、周囲とかみ合わなかったり、どこか動きが鈍く精彩を欠いている。これが加齢による衰えか、単なる不調か、それとも本人が指摘するように、MFの4枚起用に伴う弊害で、前線の枚数が減り、周囲のサポートが不足していることが影響しているのか。

 このまま低調なパフォーマンスが続けば、不動のレギュラーの座も危うくなるが、心強いのは、ラストパスの供給役として、イルカイ・ギュンドアンとジョアン・フェリックスが加わったことだ。奇しくもシステムを4-3-3に回帰した5節のベティス戦では、J・フェリックスとの息の合ったプレーから豪快にネットを揺らし、今シーズンの3点目を奪っている。35歳となったベテランには、今まで以上にフィニッシュに専念できる環境の整備が肝要になっているのかもしれない。
 
 現在そのレバンドフスキを抑え、5ゴールを奪って得点王争いをリードしているのはマドリーの新加入MF、ジュード・ベリンガムだ。チームが苦戦を強いられている中でも一発で仕留められる得点力は、まさにFW顔負け。ただ裏を返せば、チームがベリンガムにおんぶに抱っこになっているのも事実だ。

 ヴィニシウス・ジュニオールの怪我による戦線離脱が響く形にもなっているが、だからこそ期待が高まるのは、2トップの一角を担うロドリゴだ。5節を終えてまだ1ゴールだが、オフ・ザ・ボールの動き、ポジショニング、フィニッシュワーク、シュートセンスのいずれもが非凡で、しかもいい意味で未完成。ヴィニシウスとは異なり、CFでのプレー経験も豊富だ。
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デンベレが離脱したダメージは感じられない

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