先月27日、北海道コンサドーレ札幌の小野伸二が、今シーズン限りでの現役引退を発表した。1998年に浦和レッズに入団しプロキャリアをスタート、若くして「天才」との呼び声もほしいままにしたその才能は、世界の舞台にようやく足を踏み入れたばかりの日本サッカー界の象徴でもあった。

　26年にも及んだ小野のサッカー人生は、ワールドカップ３度出場や、海外移籍、クラブタイトル獲得など華やかなシーンにも彩られる一方、選手生命を左右するほどの大怪我にも見舞われた。44歳でピッチを去ることを決めた日本人MFの、波乱に満ちたその軌跡は、海外メディアでも大々的に報じられている。
  　ブラジルサッカーメディア『Trivela』でも、引退発表から間もなく、小野のキャリアを辿る特集記事を配信しており、数多くの功績を紹介しながらプレーへの印象も綴っている。

　トピックの中では「シンジ・オノの名前は、日本代表の黄金期をそのまま表している。このミッドフィルダーは、初出場からの３回のワールドカップでメンバー入りを果たし、2002年の決勝トーナメントに進出したチームの象徴であった」と代表での実績を紹介。さらに「フェイエノールトでのUEFAカップ優勝、浦和レッズでのアジア・チャンピオンズリーグ優勝など、オノはクラブでも立派なキャリアを築いてきた」と振り返っている。

　その一方で「紛れもない才能を持ちながら、そのキャリアは怪我に阻まれた」として、1999年のオリンピックアジア予選での怪我も回想。「スターのパフォーマンスに影響を与えることになった」と記している。

　また同メディアは、日本が史上２度目のアジア王者に輝いた2000年のアジアカップでの小野について「当時は２部でプレーしていたにもかかわらず、メンバー入りを果たした」と指摘、さらに「日本代表としては2008年のゲームが最後となった」など、様々なエピソードを交えキャリアを説明している。

　他にも「日本代表への貢献はもちろん、ピッチ上で見せた魔法のようなプレーの数々によって、オノは日本で愛された選手となった。このプレーメーカーは、ボールを運び、両足でコントロールする独特の才能を持ち、パスの精度も抜群だった」とプレーを評価。さらに「オノには語るべき物語が数え切れないほどあり、その多くは美しいものばかりだ」と賛辞を贈っている。

　トピックでは怪我の影響により「期待通りの成長曲線は描かれなかった」との一文も見られる。しかし、世界中のサッカーファンを虜にした小野のプレーは、間違いなく多くの人々の記憶に深く刻まれているはずだ。

構成●THE DIGEST編集部
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