海外サッカー

「フランスW杯はついに幕を閉じた」小野伸二のキャリアをスペイン人記者が回顧。98年大会最後の現役選手の引退として惜別

THE DIGEST編集部

2023.12.04

26年にわたるプロ生活にピリオドを打った小野。そのニュースは海外にも知れ渡っている。写真:永島裕基

 12月3日、北海道コンサドーレ札幌の小野伸二が現役生活にピリオドを打った。今季最終戦、ホームで行われた浦和レッズ戦に先発し22分間プレーし、両チーム選手、サポーターから拍手が送られる中、ピッチを後にした。

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 26年にも及んだプロキャリアでは、3度のワールドカップ(W杯)出場や世界各国クラブで主力選手として活躍しタイトルにも獲得に貢献。「天才」とも称された小野のプレーは多くの人々の脳裏に刻まれることとなった。とりわけ、日本人唯一、10代でW杯のピッチを経験していることからも、日本サッカー界の未来を照らし、象徴する存在だったとも言えるだろう。

 今回の小野の引退のニュースはすでに世界中で報じられてきた。その中で、スペインのスポーツサイト『Relevo』は小野が18歳でプレーしたフランスW杯の記憶とともに、惜別のコメントを寄せている

 同メディアのライター、ジョナス・ペレス氏は「シンジ・オノは1998年のフランス・ワールドカップに出場した選手で最後に引退した選手である」と綴っている。その上で、「あの大会の偉大な選手たちはどうなったのだろうか? オノがプロとしてサッカーを続けている一方で、彼らの多くがベンチ入りしたり、クラブを買収したりと、幅広いキャリアを歩んでいるのは印象的だ。また、他界した選手もいる。年齢層は非常に幅広く、定年間近の選手もいれば、すでにトップレベルのサッカー選手になっている子供を持つ選手も多い」として、小野のキャリアの長さを強調した。

 ペレス氏は、「フランス・ワールドカップの代表選手たちがベンチで成功したキャリアを探すのに、遠くを探す必要はない」として、ディディエ・デシャン(元フランス代表)やファビオ・カンナバーロ(元イタリア代表)、ディエゴ・パブロ・シメオネ(元アルゼンチン代表)など、指導者となった往年の名プレーヤーを挙げた。

 さらに「オフィスでの仕事を好む者もいる」と続け、デイビッド・ベッカム(元イングランド代表)、ロナウド(元ブラジル代表)など、クラブ運営に携わる元選手の名前も並べている。

 加えて、2002年日韓大会出場選手も現在では僅かであると説きながら、当時からプレーを続ける日本人選手にも言及。「シンジ・オノと同じ国籍を持つジュンイチ・イナモトは、競技を続けるために自分を保ってきた典型的な日本人選手だ。彼はいま、南葛のシャツを着ている。ブーツを脱ぎたがらない56歳のレジェンド、カズヨシ・ミウラに立ち向かえるかどうかは誰にもわからない」と論じている。

 トピックの最後は、小野がキャリアを終えたことにより「フランスW杯はついに幕を閉じた」と結ばれている。輝かしい軌跡を紡いできた日本人フットボーラーの引退は、今後も世界中で語り継がれることとなるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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