現地時間7月9日に行なわれたEURO2024準決勝で、スペイン代表はフランス代表を2-1で下し、2012年大会以来の決勝進出を果たしている。
「事実上の決勝戦」とまでいわれた屈指の好カードは、開始9分にキリアン・エムバペのクロスをランダル・コロ・ムアニが頭で合わせてフランスが先制した。しかしスペインは、21分にラミネ・ヤマルがペナルティーエリアの外から、よくコントロールされた絶妙なミドルをゴール左隅に決めて同点にすると、さらにその4分後には、エリア内でクリアボールを拾ったダニ・オルモが、浮き球を巧みに捌いてマーカーをかわし2点目をゲット。この序盤の勝ち越しゴールで、スペインは4度目の欧州制覇に王手をかけた。
この試合で最大の話題となったのは、今大会初ゴールを決めたヤマルだ。16歳の天才少年は、グループステージ初戦のクロアチア戦で16歳338日の大会史上最年少出場&アシスト、ラウンド・オブ16のジョージア戦で最年少ノックアウトステージ出場と、すでに幾つかの記録を樹立してきたが、もっとも待望されていた最年少得点(16歳362日)をこの重要な局面で実現してみせた。
さらに決勝では、レナト・サンチェス(ポルトガル/2016年大会)の決勝最年少出場(18歳328日)、ピエトロ・アナスタージ(イタリア/1968年大会)の決勝最年少得点(20歳64日)に挑戦することになるヤマルだが、あくまでもチームへの貢献を重視し、この記念のEURO初得点についても「重要なのはフランスの先制ゴールからすぐに反撃できたこと。特別なゴールだけど、それはチームの勝利に繋がったという意味で」と強調した上で、「これが最後でないことを願っている」と、スペイン紙『MARCA』に語っている。
「我々が見たのは天才による素晴らしいプレーだ」とルイス・デ・ラ・フエンテ監督も絶賛したヤマルに対し、『MARCA』紙は「そのゴールは驚異的で、まるで芸術作品のようで、天才の技だった。この少年には、信じられないほどの個性がある。スペインは、すべてを成し遂げることができると信じられる選手を擁している」、『MUNDO DEPORTIVO』紙は「17歳にも満たないヤマルが、素晴らしいゴールでサッカー史に新たな黄金の1ページを書き加えた」と、それぞれ賛辞を贈った。
敗れたフランスのメディアも、スポーツ紙『L’EQUIPE』は「崇高」、日刊紙『Le Parisien』は「宝石」「爆弾」と彼のゴールを表現し、『LE FIGARO』紙も「宝石」という言葉を使い、また「よりテクニカルで、より創造的で、より聡明で、より才能に溢れたヤマルは、25歳のエムバペを“ベテラン”のように見せた」と、自国のエースを引き合いに出して16歳の天才を絶賛。また同紙は、試合については「強すぎたスペインにより、フランスの奇跡は終わった」と報じている。
またサッカー専門サイト『maxifoot.fr』は、「偉大な才能! 試合開始早々、バルセロナの神童は、ファビアン・ルイスに素晴らしいクロスを送ってチャンスを創出。フランスが先制点を決めた直後には、美しいカーブショットによる見事なゴールでGKマイク・メニャンの牙城を崩し、母国を軌道に引き戻した。インスピレーションの欠けた後半においても、彼は相手にとって常に脅威となる存在だった」として「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」に選定した。
試合前日にフランスのMFアドリアン・ラビオが「我々は彼にプレッシャーをかけ、快適にはプレーさせない。決勝へ進みたければ、これまで以上のプレーをしなければいけない」と警告したことに対し、最高のプレーで応えてみせたヤマルは、試合終了後にテレビカメラに向かって「話せ、話せ」と連呼。後にこれを「自分に対してのものであると分かっている誰かに向けたものだ」と明かしたが、これも彼の持つ『強さ』の表われか……。
その才能によって偉大な記録を生み出し、チームへの影響力の大きさを示してみせたヤマル。決勝でまた新たな伝説を創成し、新世代のスーパースターとしてのキャリアをスタートさせることができるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】EURO2024準決勝、スペイン対フランスのハイライトをチェック!
「事実上の決勝戦」とまでいわれた屈指の好カードは、開始9分にキリアン・エムバペのクロスをランダル・コロ・ムアニが頭で合わせてフランスが先制した。しかしスペインは、21分にラミネ・ヤマルがペナルティーエリアの外から、よくコントロールされた絶妙なミドルをゴール左隅に決めて同点にすると、さらにその4分後には、エリア内でクリアボールを拾ったダニ・オルモが、浮き球を巧みに捌いてマーカーをかわし2点目をゲット。この序盤の勝ち越しゴールで、スペインは4度目の欧州制覇に王手をかけた。
この試合で最大の話題となったのは、今大会初ゴールを決めたヤマルだ。16歳の天才少年は、グループステージ初戦のクロアチア戦で16歳338日の大会史上最年少出場&アシスト、ラウンド・オブ16のジョージア戦で最年少ノックアウトステージ出場と、すでに幾つかの記録を樹立してきたが、もっとも待望されていた最年少得点(16歳362日)をこの重要な局面で実現してみせた。
さらに決勝では、レナト・サンチェス(ポルトガル/2016年大会)の決勝最年少出場(18歳328日)、ピエトロ・アナスタージ(イタリア/1968年大会)の決勝最年少得点(20歳64日)に挑戦することになるヤマルだが、あくまでもチームへの貢献を重視し、この記念のEURO初得点についても「重要なのはフランスの先制ゴールからすぐに反撃できたこと。特別なゴールだけど、それはチームの勝利に繋がったという意味で」と強調した上で、「これが最後でないことを願っている」と、スペイン紙『MARCA』に語っている。
「我々が見たのは天才による素晴らしいプレーだ」とルイス・デ・ラ・フエンテ監督も絶賛したヤマルに対し、『MARCA』紙は「そのゴールは驚異的で、まるで芸術作品のようで、天才の技だった。この少年には、信じられないほどの個性がある。スペインは、すべてを成し遂げることができると信じられる選手を擁している」、『MUNDO DEPORTIVO』紙は「17歳にも満たないヤマルが、素晴らしいゴールでサッカー史に新たな黄金の1ページを書き加えた」と、それぞれ賛辞を贈った。
敗れたフランスのメディアも、スポーツ紙『L’EQUIPE』は「崇高」、日刊紙『Le Parisien』は「宝石」「爆弾」と彼のゴールを表現し、『LE FIGARO』紙も「宝石」という言葉を使い、また「よりテクニカルで、より創造的で、より聡明で、より才能に溢れたヤマルは、25歳のエムバペを“ベテラン”のように見せた」と、自国のエースを引き合いに出して16歳の天才を絶賛。また同紙は、試合については「強すぎたスペインにより、フランスの奇跡は終わった」と報じている。
またサッカー専門サイト『maxifoot.fr』は、「偉大な才能! 試合開始早々、バルセロナの神童は、ファビアン・ルイスに素晴らしいクロスを送ってチャンスを創出。フランスが先制点を決めた直後には、美しいカーブショットによる見事なゴールでGKマイク・メニャンの牙城を崩し、母国を軌道に引き戻した。インスピレーションの欠けた後半においても、彼は相手にとって常に脅威となる存在だった」として「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」に選定した。
試合前日にフランスのMFアドリアン・ラビオが「我々は彼にプレッシャーをかけ、快適にはプレーさせない。決勝へ進みたければ、これまで以上のプレーをしなければいけない」と警告したことに対し、最高のプレーで応えてみせたヤマルは、試合終了後にテレビカメラに向かって「話せ、話せ」と連呼。後にこれを「自分に対してのものであると分かっている誰かに向けたものだ」と明かしたが、これも彼の持つ『強さ』の表われか……。
その才能によって偉大な記録を生み出し、チームへの影響力の大きさを示してみせたヤマル。決勝でまた新たな伝説を創成し、新世代のスーパースターとしてのキャリアをスタートさせることができるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】EURO2024準決勝、スペイン対フランスのハイライトをチェック!
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