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アンダーカテゴリーから続くライバル関係…「日本は最も多くのげんこつを食らった相手」スペイン女子代表司令塔は「リベンジの機運は高まっている」と意気込む【パリ五輪】

下村正幸

2024.07.25

写真は2014年U-17女子ワールドカップ決勝。日本が長谷川(背番号8)らの活躍でスペインを2-0で下し、優勝した。(C)Getty Images

「日本とは何度も対戦した経験があります。通算成績は分かりませんが、そのうちかなりの機会で負けています。とてもリスペクトしています」

 これはスペイン女子代表の司令塔アイタナ・ボンマティの、昨年のワールドカップ(W杯)日本戦前の言葉だ。2連勝同士の両チームは、グループステージの第3節で顔を合わせた。

 しかしスペインは十分に警戒して挑んだはずが、0-4で完敗。ボンマティは試合後、「とてもガッカリしています。日本のローブロックの攻略にとても苦しみ、カウンターを浴びるたびに、0.5点に匹敵するピンチを迎えました。でも成長するためには、こうしたショッキングな敗戦も必要です。ファンには謝罪したいです。反論の余地のない結果です。私たちは誇りを持つことができない内容の試合をしました。でもサッカーはセカンドチャンスを用意してくれます」と敗戦の弁を述べている。
 
 ボンマティが言うように、この年代の日本とスペインは、過去に何度も対戦経験がある。始まりは2014年のU‐17女子W杯だった。この大会でスペインは決勝で日本に0-2で敗れている。さらにその4年後の2018年、U‐20女子W杯で再び両者は決勝で顔を合わせ、結果は再び日本に軍配が上がった(3-1)。その大会には、ボンマティを筆頭にGKカタ・コル、GKミサ・ロドリゲス、DFライア・アレクサンドリ、DFオナ・バトレ、MFパトリシア・ギハロ、FWエバ・ナバーロ、FWルシア・ガルシアと、今回の五輪メンバーが数多く出場していた。ちなみにその2018年の決勝、ボンマティは準決勝のフランス戦で2枚のイエローカードを受けて退場処分となり、出場停止で欠場している。

 スペイン紙『Marca』によると、フル代表における両者の通算対戦成績は、スペインの3勝1分け1敗。つまりフル代表では昨年のW杯が初黒星だったわけだが、こうしたアンダーカテゴリー時代の経験が、ボンマティの前出の印象に繋がっている。

 さらに、スペイン紙『AS』のフアン・ヒメネス記者によると、昨年の日本戦後、スペイン国内ではそれまで女子代表に対してはなかった、まるで男子代表に向けられるような厳しい意見が噴出したそうだ。選手たちはそうした批判を糧にしてその後、栄冠を勝ち取ったわけだが、彼女たちにとって日本戦の大敗がいかに悔しいものだったかは想像に難くない。
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「リベンジに燃えている」と口を揃えるスペイン女子代表の選手たち