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「向こう10年、チームの“エンジンルーム”は安泰だ」 アメリカツアー中のバルセロナ、20歳&17歳の若手MFが躍動でファン興奮! 「もはやアンカーの補強は必要ない」

下村正幸

2024.08.07

バルセロナの中盤で輝きを放つ20歳のカサド(右)と17歳のベルナル(左)。(C)Getty Images

 サッカーに限らずだが、監督が変わると往々にしてチーム作りにも変化が生じるものだ。今夏にシャビからハンジ・フリックに監督が交代したバルセロナの場合は、とりわけ中盤の陣容がその影響を受けており、世代交代が急速に進みそうな期待感を漂わせている。

 新監督は就任以来、ラ・マシア(バルサ下部組織の総称)産の若手のクオリティーの高さを称賛し続けているが、その言葉に偽りはなく、現在行なわれているアメリカツアーにも多数帯同させ、試合でも積極的に起用している。その中で、とりわけ輝きを放っているのがマルク・カサドとマルク・ベルナルだ。

 前者は昨シーズン、バルサBのキャプテンを務めた20歳。トップチームの試合にも頻繁にメンバー入りを果たしていたが、出場は4試合にとどまった。シャビにとってはまだトップチームの戦力という位置づけではなく、契約が満了する6月に退団する可能性も取り沙汰されていた。後者は現在17歳。名手セルヒオ・ブスケッツと比較される逸材だが、契約解除金が600万ユーロ(約9億6000万円)と安価に設定されていたため、強奪を画策する他クラブの標的になる危険性があった。
 
 監督交代に呼応して、クラブは迅速に動いた。カサドの契約を2028年6月まで、ベルナルの契約を2026年6月までそれぞれ延長。スペイン紙『ムンド・デポルティボ』によると、その際にベルナルの契約解除金は2000万ユーロ(約32億円)まで引き上げられたという。

 クラブが2人に用意したのは、待遇面の改善だけではなかった。トップチームでのテストの機会の提供である。バルサが1年前に退団したブスケッツの後釜探しをしているのは周知の通り。当初は左ウイングと並ぶ今夏の補強最優先事項と伝えられていた。しかし、クラブは深刻な資金難に見舞われている。マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ)やヨシュア・キミッヒ(バイエルン)といった最上位にリストアップしているターゲットは完全に高嶺の花で、スペイン紙『スポルト』によると、プランBを発動させる前に、カンテラの有望株2人の実力をチェックしてみようという流れになったという。そのテストの場が、現行のアメリカツアーだったというわけだ。

 そして2人はその抜擢に見事に応えた。7月30日のマンチェスター・シティ戦(2-2)、8月3日のレアル・マドリー戦(2-1)、8月6日のミラン戦(2-2)に、ベルナウはアンカー、カサドはインサイドハーフとして出場し、好パフォーマンスを披露している。
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期待感が高まる一方で「起用には慎重になるべき」との指摘も