アンドレス・イニエスタが40歳で現役引退を発表した。国民的英雄の一大決心を受けてのスペイン国内における反応は、「我々にとっては、彼が現役を続けているにもかかわらず、その姿を見る機会がなくなっていたので、どこでプレーしているのか少し分からなくなっていた。しかしあの小さな炎がまだ燃えていることを知るたびに、嬉しい気持ちになっていた。だからこそ、正式に別れを告げた今、悲しみに暮れている」というスペイン紙『AS』のコラムで前編集長のアルフレッド・レラーニョ氏が綴っている心境が端的に示しているかもしれない。
「アンドレスは髪を染めたり、ピアスをつけたりもしないし、タトゥーもひとつもない。メディア受けという点では魅力に乏しいかもしれない。でも最高の選手なんだ」という現マンチェスター・シティ監督のジョゼップ・グアルディオラの有名な言葉があるように、スペインでイニエスタを語る際に、その天才的なプレーとセットにされるのが、謙虚さや普通さだ。
モロッコ人記者のアクラフ・ベン・アヤド氏もスペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで「アンドレスは引退するが、彼のプレーやイメージは我々の心に生き続ける。彼はサッカー選手というよりも、サッカーそのものだった。真の魔術師で、注目を集めるために大声を出す必要はなかった。黙ってピッチに入り、自分の仕事をこなし、クレ(バルサファン)からも相手ファンからもスタンディングオベーションを浴びながら去っていく。世界を見渡せば、彼より多くのタイトルを獲得した選手は他にもいる。しかし敵味方のファン問わずどんなスタジアムでも拍手を受ける選手は、ほんの数えるほどしかいない」とその点を強調する。
引退発表記者会見もそんなイニエスタの誠実な人柄がにじみ出たものだったが、なかでも現地で注目されたのが、バロンドールについて語った時だ。2010年にリオネル・メッシに次いで、惜しくも2位に終わるなど、キャリアを通して縁がなかったもののひとつとして質問されると、「メッシ、シャビ、そして僕とバルサの生え抜きの3選手がトップ3を独占した姿を発信できたのは、僕が受賞していたよりも偉大なことだった。ラ・マシアで育った3人がそこ(表彰式の舞台)に立ったこと、それこそがあの日、僕たちが勝ち取った本当の功績だった」と回答。スペイン紙『スポルト』の記者、カルメ・バルセロ氏はその言葉を受けて、「気品、謙虚さ、仲間意識、そして史上最高の選手の1人と評価されるまでに自らを成長させてくれたバルサへの感謝の気持ちが込められていた」と感想を述べている。
記者会見で注目されたもうひとつの発言が、「監督を目指している」と明らかにしたことだ。以前から監督業に関心があることは口にしていたが、「現在、監督ライセンスを取得中だ」、「いつかバルセロナに戻りたい」とより踏み込んで言及したことで、俄然ファンの期待が高まった。『スポルト』の編集長、ジョアン・ベリス氏も、「イニエスタが監督になりたがっているのを知れたことは、引退の日に発表できる最高のニュースだ。ベンチ姿を目にする日までのカウントダウンが始まった」と歓迎の意を示す。現役引退という大きな節目を迎えたイニエスタは、すでに新たなフェーズへとスタートを切っている。
文●下村正幸
【動画】天才イニエスタのバルサ時代をプレイバック!
「アンドレスは髪を染めたり、ピアスをつけたりもしないし、タトゥーもひとつもない。メディア受けという点では魅力に乏しいかもしれない。でも最高の選手なんだ」という現マンチェスター・シティ監督のジョゼップ・グアルディオラの有名な言葉があるように、スペインでイニエスタを語る際に、その天才的なプレーとセットにされるのが、謙虚さや普通さだ。
モロッコ人記者のアクラフ・ベン・アヤド氏もスペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで「アンドレスは引退するが、彼のプレーやイメージは我々の心に生き続ける。彼はサッカー選手というよりも、サッカーそのものだった。真の魔術師で、注目を集めるために大声を出す必要はなかった。黙ってピッチに入り、自分の仕事をこなし、クレ(バルサファン)からも相手ファンからもスタンディングオベーションを浴びながら去っていく。世界を見渡せば、彼より多くのタイトルを獲得した選手は他にもいる。しかし敵味方のファン問わずどんなスタジアムでも拍手を受ける選手は、ほんの数えるほどしかいない」とその点を強調する。
引退発表記者会見もそんなイニエスタの誠実な人柄がにじみ出たものだったが、なかでも現地で注目されたのが、バロンドールについて語った時だ。2010年にリオネル・メッシに次いで、惜しくも2位に終わるなど、キャリアを通して縁がなかったもののひとつとして質問されると、「メッシ、シャビ、そして僕とバルサの生え抜きの3選手がトップ3を独占した姿を発信できたのは、僕が受賞していたよりも偉大なことだった。ラ・マシアで育った3人がそこ(表彰式の舞台)に立ったこと、それこそがあの日、僕たちが勝ち取った本当の功績だった」と回答。スペイン紙『スポルト』の記者、カルメ・バルセロ氏はその言葉を受けて、「気品、謙虚さ、仲間意識、そして史上最高の選手の1人と評価されるまでに自らを成長させてくれたバルサへの感謝の気持ちが込められていた」と感想を述べている。
記者会見で注目されたもうひとつの発言が、「監督を目指している」と明らかにしたことだ。以前から監督業に関心があることは口にしていたが、「現在、監督ライセンスを取得中だ」、「いつかバルセロナに戻りたい」とより踏み込んで言及したことで、俄然ファンの期待が高まった。『スポルト』の編集長、ジョアン・ベリス氏も、「イニエスタが監督になりたがっているのを知れたことは、引退の日に発表できる最高のニュースだ。ベンチ姿を目にする日までのカウントダウンが始まった」と歓迎の意を示す。現役引退という大きな節目を迎えたイニエスタは、すでに新たなフェーズへとスタートを切っている。
文●下村正幸
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