UEFAネーションズリーグのセルビア対スペイン戦(0-0)でのことだ。SNS上に、17歳のラミネ・ヤマルがプレーしつづけることに対して、心配や不満の声が溢れた。
インターナショナルブレイク直前に行なわれたラ・リーガ第4節のバジャドリー戦で、ヤマルは打撲を負っていた。もちろん「異常なし」という診断結果を受けての代表招集、そして起用だったが、彼はこのセルビア戦、スペインのアタッカー陣の中で唯一フル出場している。スペイン紙『AS』によると、バルセロナ幹部はこの事態に憤怒したという。
バルサとそのファンの不満は、ヤマルを巡る扱いにとどまらない。今夏、ビジャレアルのアレックス・バエナとともにEUROとパリ五輪の“ダブル出場”を果たしたフェルミン・ロペスが、1週間のバカンスを経てリーグ戦の3試合に途中出場した後、U-21スペイン代表の練習中に負傷したのだ。検査の結果、左ハムストリングの負傷と診断された。全治まで3週間程度かかる見込みだ。
この事態に、「だから言わんこっちゃない!」と声を上げたのはジャーナリストのシャビエル・ボッシュ氏。彼がスペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで前例として挙げるのは、同じくEUROと五輪(東京大会)のダブルを敢行したことで年間70試合以上に出場し、その後、度重なる負傷に苦しんだペドリだ。
「フェルミンには、チームに復帰する前に少なくとも3週間のバカンスを与えるべきだった。結果的に怪我をして強制的に休暇を取らされる羽目になっている。ペドリの苦しみがまったく生かされていない。リスクマネジメントがしっかりできていれば、このような事態は避けられたはずだ」
確かにフェルミンの場合、昨シーズンのバルサでの総プレータイムは1900分程度で、2020-2021シーズンに3500分を超えたペドリほどではない。EUROと五輪のダブル招集も、本人とバルサの同意の上で決行したものだった。しかし結果的に、バカンスの期間が大幅に短縮されたのは事実であり、今回の怪我もその無理がたたった面は否定できない。
バルサのジョアン・ラポルタ会長は、スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督との関係が良好であることを強調していたが、一連の出来事に不満が蓄積しているだろうことは想像に難くない。
もちろん、こうした状況はバルサの問題に限ったものではなく、レアル・マドリーも今回の代表ウィークでCBのエデル・ミリトンがブラジル代表の練習中に負傷。“FIFAウイルス”の犠牲になっている。
『AS』紙によると、マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長が、チャンピオンズリーグに取って代わる大会として「欧州スーパーリーグ構想」の実現に固執しつづけている最大の理由は「選手が酷使され続ける状況を是正するため」だという。そして最近のこうした事象を受けてペレス会長は、1年後の2025年9月スタートに向けて、全力を傾けることに改めて意を強くしているようだ。
文●下村正幸
【動画】セルビア対スペイン戦のハイライトをチェック!
インターナショナルブレイク直前に行なわれたラ・リーガ第4節のバジャドリー戦で、ヤマルは打撲を負っていた。もちろん「異常なし」という診断結果を受けての代表招集、そして起用だったが、彼はこのセルビア戦、スペインのアタッカー陣の中で唯一フル出場している。スペイン紙『AS』によると、バルセロナ幹部はこの事態に憤怒したという。
バルサとそのファンの不満は、ヤマルを巡る扱いにとどまらない。今夏、ビジャレアルのアレックス・バエナとともにEUROとパリ五輪の“ダブル出場”を果たしたフェルミン・ロペスが、1週間のバカンスを経てリーグ戦の3試合に途中出場した後、U-21スペイン代表の練習中に負傷したのだ。検査の結果、左ハムストリングの負傷と診断された。全治まで3週間程度かかる見込みだ。
この事態に、「だから言わんこっちゃない!」と声を上げたのはジャーナリストのシャビエル・ボッシュ氏。彼がスペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで前例として挙げるのは、同じくEUROと五輪(東京大会)のダブルを敢行したことで年間70試合以上に出場し、その後、度重なる負傷に苦しんだペドリだ。
「フェルミンには、チームに復帰する前に少なくとも3週間のバカンスを与えるべきだった。結果的に怪我をして強制的に休暇を取らされる羽目になっている。ペドリの苦しみがまったく生かされていない。リスクマネジメントがしっかりできていれば、このような事態は避けられたはずだ」
確かにフェルミンの場合、昨シーズンのバルサでの総プレータイムは1900分程度で、2020-2021シーズンに3500分を超えたペドリほどではない。EUROと五輪のダブル招集も、本人とバルサの同意の上で決行したものだった。しかし結果的に、バカンスの期間が大幅に短縮されたのは事実であり、今回の怪我もその無理がたたった面は否定できない。
バルサのジョアン・ラポルタ会長は、スペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督との関係が良好であることを強調していたが、一連の出来事に不満が蓄積しているだろうことは想像に難くない。
もちろん、こうした状況はバルサの問題に限ったものではなく、レアル・マドリーも今回の代表ウィークでCBのエデル・ミリトンがブラジル代表の練習中に負傷。“FIFAウイルス”の犠牲になっている。
『AS』紙によると、マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長が、チャンピオンズリーグに取って代わる大会として「欧州スーパーリーグ構想」の実現に固執しつづけている最大の理由は「選手が酷使され続ける状況を是正するため」だという。そして最近のこうした事象を受けてペレス会長は、1年後の2025年9月スタートに向けて、全力を傾けることに改めて意を強くしているようだ。
文●下村正幸
【動画】セルビア対スペイン戦のハイライトをチェック!
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