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アッズーリが敵地でベルギーに0ー1勝利。トップ下のバレッラが「それぞれ局面に“プラス1”の優位性を作り出したという意味で、先制ゴールの真の立役者」【現地発コラム】

片野道郎

2024.11.16

EURO2024以来の代表復帰で、スパレッティ体制では初招集となったバレッラ。インテルと同じインサイドハーフではなくトップ下で起用され、好守に存在感を見せた。(C)Getty Images

 11月14日にブリュッセルのボードゥアン国王スタジアムで行なわれたUEFAネーションズリーグ第5節、イタリア代表は11分にサンドロ・トナーリが挙げた先制点を守り切って0ー1でベルギーに勝利した。勝点を13に伸ばしてグループ首位を守るとともに、3月に行なわれるノックアウトステージ準々決勝進出、さらには25年9月に始まるワールドカップ予選でのシード権(ポット1)を確定させた。

 この試合、CBリッカルド・カラフィオーリ、MFサムエレ・リッチを故障で欠いたルチャーノ・スパレッティ監督は、ここまでのネーションズリーグで一貫して使ってきた3ー5ー1ー1システムのセンターCBにアレッサンドロ・ブオンジョルノ、中盤の底に今回が初招集のニコロ・ロベッラを起用。さらに過去4試合は故障などで不在だったニコロ・バレッラをトップ下に置いた以下のような布陣をピッチに送り出した。

イタリア(3ー5ー1ー1)
GK:ジャンルイジ・ドンナルンマ
DF:ジョバンニ・ディ・ロレンツォ、ブオンジョルノ、アレッサンドロ・バストーニ
MF:アンドレア・カンビアーソ、ダビデ・フラッテージ、ロベッラ、トナーリ、フェデリコ・ディマルコ
トップ下:バレッラ
FW:マテオ・レテギ

 イタリア代表で中盤のリーダー格と言うべきバレッラが、ほぼ同じ3ー5ー2を採用しているインテルでは一貫して右インサイドハーフでプレーしてきたのは周知の通り。にもかかわらず、そこには従来通りフラッテージを起用し、バレッラをトップ下に置いた理由は、前日会見におけるスパレッティ監督の次のようなコメントに示されていた。
 
「フラッテージはこれまでいくつかのゴールを挙げてきたが、いずれも後方から攻め上がってフィニッシュに絡んだもの。また必要に応じて中盤センターに下がって中央を固める仕事にも優れている。インサイドハーフに置いた方が生きるタイプだ。バレッラは万能なので高い位置でも自在にプレーできる」

 フラッテージはネーションズリーグ4試合で3ゴールとイタリアにとって一番の得点源であり、その持ち味を引き続き活かしたいという指揮官の考えは理解できる。一方、バレッラは中盤ならどこに置いても機能するユニバーサルなMFで、攻撃センスももちろん際立っている。

 トップ下で起用すれば、中盤で数的優位を作り出してポゼッションによるゲーム支配を支える仕事、そしてラスト30メートルでのアシストやミドルシュートでフィニッシュに絡む仕事も期待できる。

 事実、結果的に決勝点となった11分の先制ゴールは、バレッラがその2つの仕事をこなしたことによって生まれたものだった。ベルギーのビルドアップに対し、フラッテージと連携したプレスによってレアンドロ・トロサールを追い込んで右サイドの高い位置でボールを奪うと、左から駆け上がってきたディマルコに展開して最終ライン攻略の口火を切った。

 その流れでボールがもう一度右サイドに戻ってきたところで、今度は裏に走り込んだディ・ロレンツォにワンツーを返す形で絶妙なスルーパス。ディ・ロレンツォはそのまま右のポケットを深くえぐって中央に短いクロスを折り返し、そこに詰めたトナーリが無人のゴールに押し込むという流れだった。

 ボール奪取時には純粋なMFとして、そしてフィニッシュの場面ではディ・ロレンツォのアシストを演出する決定的なスルーパスを送り込むアタッカーとして、それぞれ局面に「プラス1」の優位性を作り出したという意味で、バレッラこそがこの先制ゴールの真の立役者だったと言えるだろう。

【動画】ベルギー代表vsイタリア代表のハイライト
 
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