スペイン紙『AS』のアリツ・ガビロンド記者は、多くの人々にとって予想外の結果だったという。マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督が今シーズン限りで満了する契約を2027年6月まで延長した件についてだ。
「サイクルの終焉」といった定番フレーズを使って、勇退する舞台は整っていた。バルセロナでも、シティでもスポーツディレクター(SD)と監督の立場で長年にわたって強力タッグを組んでいたチキ・ベギリスタインSDが先月、今シーズン終了後に退任することを発表した。クラブは財務違反疑惑の渦中にあり、有罪が確定した場合は、プレミアリーグからの降格の可能性も取り沙汰されている中での盟友の決断だっただけに、グアルディオラも続くのではないかと言われていた。
また、これでチームが強さを維持していればまだよかったが、攻守の要のロドリを筆頭に怪我人が続出している状況も響き、目下、公式戦5連敗中だ。昨シーズン、プレミア史上初の4連覇を達成したチームに勤続疲労が起きているのは間違いなく、グアルディオラ監督も、本拠地エティハド・スタジアムで0-4の惨敗を喫したトッテナム戦後、「人生とはこういうものだ。近年経験したような例外的なことが永遠に続くわけではない。時には落ち込むこともある」と認めている。
このシティの失速については、グアルディオラの母国であるスペインのメディアも容赦がない。『AS』が「現在のシティは、サッカーの面でもエモーショナルな部分でも破綻している。とりわけ守備の脆弱さが顕著だ」と一刀両断すれば、一般紙『エル・パイス』はその症状について次のように分析している。「シティはボールを動かすことにおいて世界で最も洗練されたチームだが、アグレッシブなプレッシングが目を見張るレベルに達してこそ、その強みは最大限発揮する。そんな中、ボールを持たない局面で、そのアグレッシブさを率先して体現してきたのは、ルベン・ディアス、カイル・ウォーカー、ロドリ、そして時にベルナルド・シウバといった選手だった。アドレナリンの分泌は常に後方にいる選手から始まっていたわけだ。そのエネルギーが不足しているのが現在のシティであり、おかげで前線の選手はより多くゴールを奪わなければ勝つのが不可能という負のループに陥っている。後ろが脆さを見せているという不安感が、前線の選手の士気を萎えさせている」
グアルディオラは2016年の就任以来、通算18個のタイトルを獲得。もうすべてを成し遂げたようにも見えるが、続投を決意した。前述の財務違反疑惑に関しては、2025年初旬に判決が下される見通しとなっているが、それを待つこともなかった。前述の『AS』のガビロンド記者は、その心境について「グアルディオラは自分に挑戦したいのだろう。来シーズン、シティがプレミアとチャンピオンズリーグで戦うことが保証されていない状況すらも、彼にとってはチャレンジ精神を掻き立てる材料でしかないのだろう。グアルディオラはグアルディオラと競争する。目指しているのは、今までの自分を超えること。それが得るものより失うもののほうが多い今回の契約延長を理解する唯一の方法だ」と考察する。
『エル・パイス』紙によると、グアルディオラは降格処分が下された場合も、指揮を続けることを明言しているという。1年の契約延長だが、さらに1年間の延長オプションも付随している。これで在任期間は少なくとも10年を超えることになる。バルサでの監督生活が4年にとどまったことを嘆くクレ(バルサファン)は今なお多いが、それもまたグアルディオラの言葉を借りれば、人生なのだろう。
文●下村正幸
【動画】シティまさかの公式戦5連敗…12節トッテナム戦ハイライト
「サイクルの終焉」といった定番フレーズを使って、勇退する舞台は整っていた。バルセロナでも、シティでもスポーツディレクター(SD)と監督の立場で長年にわたって強力タッグを組んでいたチキ・ベギリスタインSDが先月、今シーズン終了後に退任することを発表した。クラブは財務違反疑惑の渦中にあり、有罪が確定した場合は、プレミアリーグからの降格の可能性も取り沙汰されている中での盟友の決断だっただけに、グアルディオラも続くのではないかと言われていた。
また、これでチームが強さを維持していればまだよかったが、攻守の要のロドリを筆頭に怪我人が続出している状況も響き、目下、公式戦5連敗中だ。昨シーズン、プレミア史上初の4連覇を達成したチームに勤続疲労が起きているのは間違いなく、グアルディオラ監督も、本拠地エティハド・スタジアムで0-4の惨敗を喫したトッテナム戦後、「人生とはこういうものだ。近年経験したような例外的なことが永遠に続くわけではない。時には落ち込むこともある」と認めている。
このシティの失速については、グアルディオラの母国であるスペインのメディアも容赦がない。『AS』が「現在のシティは、サッカーの面でもエモーショナルな部分でも破綻している。とりわけ守備の脆弱さが顕著だ」と一刀両断すれば、一般紙『エル・パイス』はその症状について次のように分析している。「シティはボールを動かすことにおいて世界で最も洗練されたチームだが、アグレッシブなプレッシングが目を見張るレベルに達してこそ、その強みは最大限発揮する。そんな中、ボールを持たない局面で、そのアグレッシブさを率先して体現してきたのは、ルベン・ディアス、カイル・ウォーカー、ロドリ、そして時にベルナルド・シウバといった選手だった。アドレナリンの分泌は常に後方にいる選手から始まっていたわけだ。そのエネルギーが不足しているのが現在のシティであり、おかげで前線の選手はより多くゴールを奪わなければ勝つのが不可能という負のループに陥っている。後ろが脆さを見せているという不安感が、前線の選手の士気を萎えさせている」
グアルディオラは2016年の就任以来、通算18個のタイトルを獲得。もうすべてを成し遂げたようにも見えるが、続投を決意した。前述の財務違反疑惑に関しては、2025年初旬に判決が下される見通しとなっているが、それを待つこともなかった。前述の『AS』のガビロンド記者は、その心境について「グアルディオラは自分に挑戦したいのだろう。来シーズン、シティがプレミアとチャンピオンズリーグで戦うことが保証されていない状況すらも、彼にとってはチャレンジ精神を掻き立てる材料でしかないのだろう。グアルディオラはグアルディオラと競争する。目指しているのは、今までの自分を超えること。それが得るものより失うもののほうが多い今回の契約延長を理解する唯一の方法だ」と考察する。
『エル・パイス』紙によると、グアルディオラは降格処分が下された場合も、指揮を続けることを明言しているという。1年の契約延長だが、さらに1年間の延長オプションも付随している。これで在任期間は少なくとも10年を超えることになる。バルサでの監督生活が4年にとどまったことを嘆くクレ(バルサファン)は今なお多いが、それもまたグアルディオラの言葉を借りれば、人生なのだろう。
文●下村正幸
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