開幕から快進撃を続けてきたバルセロナの勢いに、少し陰りが見られる。いずれも難敵とのアウェーゲームだったとはいえ、レアル・ソシエダに0-1で敗れ、公式戦の連勝が7でストップした後、インターナショナルブレイクを挟んで迎えたセルタ戦では、2点を先行しながらも終盤に追いつかれた。しかも後ろを振り返れば、2位のレアル・マドリーとは勝点4差。マドリーが未消化のバレンシア戦に勝利すれば、その差はさらに1に縮まる。
2つの試合に共通しているのは、ラミネ・ヤマルが怪我で欠場したことだ。ちなみにラ・リーガ初黒星を喫したオサスナ戦も、ヤマルはベンチスタートだった。ハンジ・フリック監督は、ソシエダ戦では、中盤が本職のフェルミンを代役に起用し、セルタ戦ではラフィーニャを左サイド、ダニ・オルモを右サイド、ペドリを右インテリオールとポジションを移して対応したが、いずれも結果が示すように機能したとは言い難かった。
したがってチームの躓きを分析する際に、その不在がクローズアップされるのはある意味当然で、その中でも現地で飛び交っているのが、速攻と遅攻を自在に使い分けるヤマルがいないことで、攻め急いでしまうという声だ。
ジャーナリスト兼作家のシャビエル・ボッシュ氏も、スペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで、ヤマルの不在とバルサの躓きが重なっていることは「偶然ではない」と前置きしたうえで、「ヤマルがいると緩急が生まれる。チームメイトがパスを受けたり、ボールロスト後にプレスをかけたりする際に適切なポジショニングを取るための時間を確保する。逆に彼がいないとソシエダ戦やセルタ戦のように、理由も理屈もなく走りすぎて、縦への意識が強く全体が前がかりになり、結果的にゲームコントロールを失ってしまう。ヤマルがバルサにとって重要な選手であるのは、アシストやゴール、スペクタクルのためだけではない。彼はプレースピードを調整することにかけても偉大だ。バルサの "クルーピエ"(カジノディーラー)だ」と分析している。
スペイン紙『AS』によると、セルタ戦後、フリック監督は選手たちを叱責したという。記者会見でもいつになく強い口調が目立ったが、ガビやジュール・クンデといった選手たちからも集中力が低下したことについての反省が口を突いて出た。躓きの原因をメンタル面に求めるのは『ムンド・デポルティボ』の編集長のサンティ・ノジャ氏も同様で、「フリックのサッカーの最大の特徴の1つは、常に手を抜かない姿勢にある。セルタ戦は残り6分で2-0とリードし、3日後にはチャンピオンズリーグのブレスト戦を控えていた。流してプレーしたくなる状況は揃っていた。結果的に勝った気分になって、墓穴を掘った」と指摘する。
もっともセルタ戦から2日経過したそのブレスト戦前日の記者会見では、フリック監督はトーンを落とし「我々は若いチームだ。選手たちはとてもよくやっている。ただここ数試合は、そこまでのプレーを見せられなかった。この経験を糧にすればいい」と語っている。
そもそもここまでの快進撃が驚異的で、長いシーズンでこの種の躓きは遅かれ早かれ訪れるものだ。戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏もスペインメディア『Relevo』で次のように見解を述べている。
「多数の故障者を抱える中、開幕から見せていた若いチームに似合わない成熟ぶりが、むしろ異常だった。うまくいかない時はどうするのか? 敗北時に生じる疑念の中で、これからも前進し続けることができるかどうかの真価が問われる」
CLのブレスト戦は、しっかり勝ち切った(3-0)。フリック監督のいう経験を糧にした新たな第一歩だ。
文●下村正幸
【動画】レバンドフスキの2発などでバルサが3-0快勝! CL5節ブレスト戦ハイライト
2つの試合に共通しているのは、ラミネ・ヤマルが怪我で欠場したことだ。ちなみにラ・リーガ初黒星を喫したオサスナ戦も、ヤマルはベンチスタートだった。ハンジ・フリック監督は、ソシエダ戦では、中盤が本職のフェルミンを代役に起用し、セルタ戦ではラフィーニャを左サイド、ダニ・オルモを右サイド、ペドリを右インテリオールとポジションを移して対応したが、いずれも結果が示すように機能したとは言い難かった。
したがってチームの躓きを分析する際に、その不在がクローズアップされるのはある意味当然で、その中でも現地で飛び交っているのが、速攻と遅攻を自在に使い分けるヤマルがいないことで、攻め急いでしまうという声だ。
ジャーナリスト兼作家のシャビエル・ボッシュ氏も、スペイン紙『ムンド・デポルティボ』のコラムで、ヤマルの不在とバルサの躓きが重なっていることは「偶然ではない」と前置きしたうえで、「ヤマルがいると緩急が生まれる。チームメイトがパスを受けたり、ボールロスト後にプレスをかけたりする際に適切なポジショニングを取るための時間を確保する。逆に彼がいないとソシエダ戦やセルタ戦のように、理由も理屈もなく走りすぎて、縦への意識が強く全体が前がかりになり、結果的にゲームコントロールを失ってしまう。ヤマルがバルサにとって重要な選手であるのは、アシストやゴール、スペクタクルのためだけではない。彼はプレースピードを調整することにかけても偉大だ。バルサの "クルーピエ"(カジノディーラー)だ」と分析している。
スペイン紙『AS』によると、セルタ戦後、フリック監督は選手たちを叱責したという。記者会見でもいつになく強い口調が目立ったが、ガビやジュール・クンデといった選手たちからも集中力が低下したことについての反省が口を突いて出た。躓きの原因をメンタル面に求めるのは『ムンド・デポルティボ』の編集長のサンティ・ノジャ氏も同様で、「フリックのサッカーの最大の特徴の1つは、常に手を抜かない姿勢にある。セルタ戦は残り6分で2-0とリードし、3日後にはチャンピオンズリーグのブレスト戦を控えていた。流してプレーしたくなる状況は揃っていた。結果的に勝った気分になって、墓穴を掘った」と指摘する。
もっともセルタ戦から2日経過したそのブレスト戦前日の記者会見では、フリック監督はトーンを落とし「我々は若いチームだ。選手たちはとてもよくやっている。ただここ数試合は、そこまでのプレーを見せられなかった。この経験を糧にすればいい」と語っている。
そもそもここまでの快進撃が驚異的で、長いシーズンでこの種の躓きは遅かれ早かれ訪れるものだ。戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏もスペインメディア『Relevo』で次のように見解を述べている。
「多数の故障者を抱える中、開幕から見せていた若いチームに似合わない成熟ぶりが、むしろ異常だった。うまくいかない時はどうするのか? 敗北時に生じる疑念の中で、これからも前進し続けることができるかどうかの真価が問われる」
CLのブレスト戦は、しっかり勝ち切った(3-0)。フリック監督のいう経験を糧にした新たな第一歩だ。
文●下村正幸
【動画】レバンドフスキの2発などでバルサが3-0快勝! CL5節ブレスト戦ハイライト
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