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CLトップ8にインテル、ミラン、アタランタ、EL1位がラツィオで、フィオがECL3位「セリエAが低迷期からようやく脱却し、復権に向けて確かな歩みを」【現地発コラム】

片野道郎

2025.01.27

CLリーグフェーズのアーセナル戦でチャルハノールがPKを決めて勝利したインテル。7節終了時点で4位につけている。(C)Alberto LINGRIA

 1月21、22日に第7節を終えたチャンピオンズリーグ(CL)は、新フォーマットによる「リーグフェーズ」も残り1試合となった。

 7連勝で首位を走るリバプール(勝点21)、6勝1敗でそれに続くバルセロナ(同18)が、プレーオフを経ずベスト16に勝ち上がれる権利(8位以内)を手に入れた一方で、残る6つの勝ち上がりポストを巡る争いは、3位アーセナル(同16)から13位ブレスト(同13)まで、わずか3ポイントの間に11チームがひしめく大混戦となっている。

 国別に見ると、最も多く勝点を挙げているのがイタリアだ。現時点でトップ8にインテル、ミラン、アタランタの3チームを送り込んでおり、17位のユベントス(同12)も、プレーオフ進出の最低ラインである24位以内を確定させている。

〈参考:CLリーグフェーズ・国別総勝点(7節終了時点)〉
イタリア(5チーム)総勝点62
イングランド(4チーム)総勝点58
ドイツ(5チーム)勝点50
フランス(4チーム)勝点49
スペイン(4チーム)勝点48

 昨シーズンのUEFAカントリーランキングでトップ2だったイタリアとドイツは、プラス1の参加枠を得て5チームを送り込んでいるが、そのうち上位4チームの勝点を見てもイタリアは「57」と、イングランドとほぼ肩を並べ、フランス、スペイン、ドイツに大きな差をつけている。

 イタリア勢の中で唯一、残念ながらすでに敗退が決まっているのが、勝点5で28位のボローニャだ。昨シーズンはチアゴ・モッタ監督(現ユベントス)の下でセリエA5位と大躍進を見せ、60年ぶりクラブ史上2度目のCL出場権を勝ち取ったのは記憶に新しい。

 だが、一介のセリエA中堅クラブにとって欧州トップレベルの壁は厚かった。開幕節でシャフタール・ドネツクに0ー0で引き分けた後、リバプール、アストン・ビラ、モナコ、リールに4連敗。続くベンフィカ戦では引き分けをもぎ取ったものの、6節を消化した昨年末時点で勝点2、順位も36チーム中33位と、プレーオフ勝ち残り(24位以内)の可能性はほぼ消滅していた。
 
 とはいうものの、財政規模でも戦力値(保有選手の市場価値総額)でもセリエAで8~9番手という水準に留まるボローニャにとって、CLという欧州最高峰の舞台に立てること自体が大きな名誉であり、「ボーナス」だと言ってもいい。実際、なかなか結果が残せずにいたにもかかわらず、CLを戦うボローニャの周囲に悲壮感はまったくなかった。

 チームを率いるヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督は、「我々にとってCLは経験と成長の舞台」と明言し、リバプールやアストン・ビラ、ベンフィカのような格上の対戦相手に対しても、チーム本来の個性であるアグレッシブなポゼッション&ハイプレスの攻撃サッカーを曲げることなく、真っ向勝負を挑んだ。サポーターはもちろん、ボローニャ市民や地元マスコミも、そうした姿勢を好意的に受け止め、常に高い熱量でチームをサポートし続けてきた。

 それがようやく実ったのが、先週火曜日(1月21日)、本拠地レナト・ダッラーラで行なわれた第7節のボルシア・ドルトムント戦だ。昨シーズンにCL決勝まで勝ち上がった強豪に先制を許しながら、後半に2得点を決めて逆転し、待望の初勝利を挙げたのだ。

 ドルトムント戦がCLのホーム最終戦ということもあり、ボローニャの事実上敗退が決まっているにもかかわらず、超満員のスタジアムは祝祭の空気に包まれていた。試合は、不用意なファウルでPKを献上し、開始15分に先制される最悪の展開になる。

 しかしボローニャは怯むことなく攻勢に立ち、主導権を握ってドルトムントを攻め立てると、途中出場のタイス・ダリンハが71分に同点ゴール。さらにそのわずか90秒後、やはり途中出場のサミュエル・イリング=ジュニアのゴールで逆転に成功すると、熱狂するスタジアムの後押しを受けてそのまま押し切り、歴史的な勝利を飾った。

【動画】ボローニャがクラブ史上初のCL初勝利を挙げたドルトムント戦ハイライト
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インテルは引き分け以上、ミランはアタランタと同様に勝利で、それぞれトップ8入りが確定