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CLリーグフェーズのイタリア勢を総括「チームとしての成熟度や経験値の差が、パフォーマンスと結果に表われた」【現地発コラム】

片野道郎

2025.02.01

リーグフェーズ最終節のモナコ戦でラウタロ・マルティネスがハットトリック。イタリア勢で唯一インテルがR16にストレートインした。 (C)Getty Images

 今シーズンから新フォーマットとなったUEFAチャンピオンズリーグ(CL)は、1月29日に行なわれた第8節で前半の「リーグフェーズ」が終了し、ベスト16に直接勝ち上がるトップ8、2月のプレーオフを戦う9位から24位までの16チームが確定した。

 第7節終了時点で3チームがトップ8に名を連ねていたイタリア勢だが、第8節の結果は残念ながら期待通りとはならなかった。インテルがモナコを3ー0で下して4位勝ち上がりを決めた一方、アタランタはバルセロナと引き分け止まり(2ー2)で9位、ミランは格下のディナモ・ザグレブに1ー2と足下をすくわれて13位と、ともにトップ8から陥落。ベンフィカに敗れて17位から20位まで順位を落としたユベントスとともに、プレーオフに回ることになった。

 唯一の敗退組となったボローニャ(28位)も含め、イタリア勢5チームの戦いぶりを総合的に見てひとつ言えるのは、チームとしての成熟度や経験値の差がパフォーマンスと結果に表れた、ということ。

 シモーネ・インザーギ体制4年目、2年前に決勝まで勝ち上がった経験を持つインテル、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が9年目を迎え、昨シーズンのヨーロッパリーグ(EL)で優勝しているアタランタは、ムラのないパフォーマンスで安定した結果を重ね、当初の期待値をクリアする成績を収めた。

 他方、新監督を迎え陣容にも少なからず変化があったミラン、ユベントスは、チームそのものを固めるプロセスの中でリーグフェーズを戦わなければならず、結果として試合ごとに出来不出来の差が大きく、結果以上に内容面で不安定な戦いが続いた。どちらも、結果へのプレッシャーが最も大きかった最終節で脆さを露呈し、勝つべき相手に敗れた事実は象徴的だ。
 
 インテルは、ウイングバックのフェデリコ・ディマルコやデンゼル・ドゥムフリースが時にはFWのように振る舞うなど、流動的かつ多彩な攻撃でゴールを量産しているセリエAでの戦いぶりとは異なり、CLでは6試合でわずか1失点の堅固な守備が最大の強みだった。

 強豪との直接対決も、レバークーゼンには試合終了間際に唯一の失点を許し敗れた(0ー1)ものの、アーセナルを1ー0で下し、マンチェスター・シティとはスコアレスドロー。相手や状況に応じて、主導権を握って相手を押し込むだけでなく、大きなリスクを冒さずしっかり結果をもぎ取る戦い方も選べる柔軟性の高さに、チームとしての成熟度が表われている。

 それとは対照的に、アタランタはどんな相手に対しても自分たちの戦い方を「押し付ける」ことができるのが一番の強み。相手のビルドアップを分断するアグレッシブなマンツーマンハイプレス、サイドを効果的に使ってファイナルサードに侵入し4~5人をゴール前に送り込む攻撃には、アーセナル、レアル・マドリー、バルセロナという強豪すらも手を焼くほどの「圧力」があった。

 得失点差14は、36チーム中バルセロナの15に次いで2番目に大きな数字だ。にもかかわらずトップ8にあと一歩届かない9位に終わったのは、0ー0に終わったアーセナル戦でのPK失敗、2ー3で敗れたR・マドリー戦で終了間際に得たビッグチャンスを決め損ねる小さなミスで勝点を逃したため。90分を通して一方的に攻め立てながらスコアレスドローに終わったセルティック戦の取りこぼしも痛かった。とはいえ、クラブとしての規模やステータスを考えれば、9位は間違いなくポジティブな結果である。

【動画】CLリーグフェーズ最終節、イタリア勢のマッチハイライト
 
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シーズン半ばの今もなお試行錯誤が続いている印象なのは