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海外サッカー

なかなか見出せないマドリー前線の組み合わせの最適解…現地では「エムバペはヴィニシウスがいないほうが明らかに快適そうだ」と断じるメディアも

下村正幸

2025.03.18

ヴィニシウスがベンチスタートとなったビジャレアル戦では前半だけで2ゴールを挙げたエムバペ。(C)Getty Images

ヴィニシウスがベンチスタートとなったビジャレアル戦では前半だけで2ゴールを挙げたエムバペ。(C)Getty Images

 ラ・リーガ第28節、キリアン・エムバペの2発で難敵ビジャレアルに勝利し(2-1)、同じ勝点60で得失点差により首位に立つ宿敵バルセロナと並走しているレアル・マドリーだが、今一つ突き抜けられない戦いぶりを示す数字がある。
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 マドリーが2月以降に戦った13試合のうち、チャンピオンズリーグ(CL)のマンチェスター・シティ戦との第1レグ(3-2)と第2レグ(3-1)、コパ・デル・レイのレガネス戦(3-2)を除いた10試合の得点がすべて2点以下にとどまっていることだ。今シーズンはエムバペが加入し、カルロ・アンチェロッティ監督も、「攻撃陣は全員うまくやっている。ゴールを奪うことに関してチームが問題を抱えることは決してない」と絶対的な信頼を口にしていたが、ここまでのところ散発的にしか破壊力を見せることができていない。一方、バルサは、そのビジャレアル戦の翌日、マドリーがCLで2試合を通じて攻略に苦しんだアトレティコ・マドリー相手に、2点ビハインドからの鮮やかな逆転勝利(4-2)を収めた。

 ビジャレアル戦では、ヴィニシウス・ジュニオールがベンチスタートだった。その中でエムバペは、「マドリーにとって非常に難しい試合で、真のクラックに相応しい活躍を見せた。2ゴールを決めたからだけではない。前後左右に動き回りながら、パスを引き出し、局面を前に進めることで、ビルドアップに苦労するチームを牽引していた」と、『ラジオ・マルカ』の人気MC、ミゲル・キンターナ氏が解説するように、幅広い働きを披露した。
 
 そのメリットの1つが、「ヴィニシウスが不在の左サイドで好連携を見せていた」と『エル・パイス』紙のマッチレポートでも触れられていたロドリゴとエムバペの息の合ったプレーだった。

 キンターナ氏は「エムバペにとって、ヴィニシウスがピッチにいないほうが快適であることはもはや明らかだ。往々にしてこうした指摘をすると、不毛な論争を生み出すだけと非難されるが、現時点では、揺るぎのない事実だ。ヴィニシウスがいないほうがエムバペのボールタッチの回数が増え、プレーエリアは広がり、影響力が大きくなる。行き着くところはやはりプレーエリアが重なり、プレースタイルが似ていて、ともにフィニッシャーとしての意識が旺盛というキャラクターが被る2人の共存を巡る議論になる。アンチェロッティ監督はいつものように自由度が高い環境を与えることで、それぞれの即興性を発揮させようと試みているが、その効果は見られない。皮肉なことに、そのやり方がともに窮屈そうにプレーする現状を招いている」と結論付ける。

 そんな中、マドリーの前線ではブラヒム・ディアスが好プレーを見せている。クラブOBのアルバロ・ベニート氏などは「ブラヒムのプレーにはフットボールの神髄が詰まっている。戦っている場所と理由に見合った競争心を最高級のクオリティーに還元しながら、全力を尽くしている。ブラヒムはレギュラークラスの実力を持っている。マドリーでそのステータスを享受できないのは、チーム内で序列が上の面々が立ちはだかっているからに他ならない。しかし彼はレギュラーに値する」と絶賛している。

「僕とブラヒムは守備でハードワークしなければならない」 とロドリゴが語るように、もともとエムバペとヴィニシウスは、守備の負担の一部をチームメイトに補ってもらっている立場にある。だからこそ攻撃面で違いを生み出す働きが求められるのだが、今のところそれは独力での解決にとどまり、1+1が3にも4にもなる補完性を構築するには至っていない。果たしてアンチェロッティ監督は最適解を見つけられるのか。

文●下村正幸

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