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ナポリのスクデット奪還は「マラドーナの7年間に匹敵する奇跡」伊紙が大絶賛! CLに全集中のインテルは祝福、ミランのクラブ専門サイトは痛烈に自チーム批判

THE DIGEST編集部

2025.05.25

2024-05シーズンのセリエAを制したのは、コンテ監督率いるナポリだった。(C)Getty Images

 現地5月23日に行なわれたセリエA最終節で首位ナポリがカリアリを2-0で下して勝点を81に伸ばし、2シーズンぶり4回目の優勝を飾った。

 2位インテルと勝点1差で迎えた最終決戦。同時刻スタートのライバルは開始20分にコモをリードしてプレッシャーをかけてきたが、首位チームは本拠地ディエゴ・アルマンド・マラドーナで主導権を握って試合を進め、42分にスコット・マクトミネイのアクロバティックなジャンピングボレーで先制した。51分にはロメル・ルカクが迫力満点の突破から追加点を挙げ、以降はリードを守って栄光の瞬間を迎えた。

 前節のパルマ戦で退場処分となり、優勝決定の瞬間をベンチで迎えることはできなかったアントニオ・コンテ監督は、ユベントス(3回)、インテル、ナポリと、異なるイタリアの3クラブでスクデットを獲得する偉業を達成(セリエB、国外リーグも含めるならバーリ、チェルシーを加えて5クラブで計7回優勝)。就任1年目での大仕事を終え、以下のようにシーズンを振り返っている。

「キャリアの中で最も予想外で、困難で、刺激的な挑戦だった。昨季を10位で終えたナポリに来て、全てを立て直すところから始まった。バラバラになっていたチームを再建するために、優秀な選手たちを残留させるのも簡単ではなかった。コッパ・イタリアではモデナに0-0、セリエAでは開幕戦でヴェローナに0-3の敗戦。なのに、今こうしてスクデットを祝っている。本当に信じられない」

「正直に言って、ナポリで勝つのは非常に難しい。だからこそ、この選手たちが3年で2度も優勝を成し遂げたというのは、ここに何か特別なものがある証拠だ。30年以上前、ディエゴ・マラドーナがタイトルをもたらし、今はジョバンニ・ディ・ロレンツォがキャプテンとして再びトロフィーを掲げる。とても特別なことだ。もちろん、簡単な状況ではなかった。なぜなら、ここは最初からタイトルを狙えるクラブではなかったからだ。選手たちは素晴らしかった。昨季10位に沈んだ彼らが、もう一度挑戦してくれたことに敬意を表したい」

 イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、「再現不可能と思われていた"マラドーナの7年間"。しかし、それに匹敵する奇跡が今、再びナポリに起こった」と伝え、「歴史に新たな日付が刻まれた。1987年5月10日、1990年4月29日、2023年5月4日に続き、2025年5月23日がアッズーロ(青)に染まった。そして、これはまだ終わりではない。ナポリの栄光は、まだ続いていく」と、4度目のスクデット獲得を称えた。
 
 同紙は、勝利の殊勲者にアウレリオ・デ・ラウレンティス会長の名を挙げ、「壊滅的なシーズンの後、彼はすぐさま再建に乗り出した。勝者の資質を持ち、瓦礫の中から立て直せる監督を迎え入れ、夏には1億5000万ユーロ(約243億円)を投じてマクトミネイ、ルカク、ダビド・ネーレス、アレッサンドロ・ブオンジョルノ、ビリー・ギルモアらを獲得し、一方で1月にはフビチャ・クバラツヘリアを売却して7500万ユーロ(約122億円)を回収するなど、大胆な手腕を発揮した」と評価した。

「好き嫌いはあれど、そのビジネス嗅覚は鋭く、他の誰も目を向けない場所に目を向けてきた。今回のスクデットはデ・ラウレンティス会長の功績でもある。21年間クラブを所有してきた"ナポリの父"なのだから」と賛辞を贈った同紙は、困難なミッションを完遂した「闘将」コンテ監督についても、「困難にも挑む勇気を持ち、廃墟からの再建を恐れず、不可能と思われる挑戦を愛する男だ」と評している。

 最終節まで優勝を争ったインテルも、ナポリを祝福している。前節に退場処分を受けて最終節のベンチ入りを禁じられたシモーネ・インザーギ監督に代わって指揮を執ったアシスタントコーチのマッシミリアーノ・ファリスは、「ナポリの功績は称賛に価する。3年で2度目の優勝だから、彼らは強い」と賛辞を送った。

 インテルが悔恨の情や喪失感を抱きながらも充実したシーズンを送り、現在は最後の目標、それも最大のターゲットであるチャンピオンズリーグに全ての意識を傾けている一方、インテルを下してスーペルコッパを勝ち取ったのが唯一の収穫であり、不甲斐ない戦いの連続で来季の欧州カップ出場権を手にできなかったのがミランだ。

 クラブ専門メディア『Milan News.it』は、「ナポリの優勝は、同時にミランの経営陣に対する『傲慢さ、プライドの高さ、無能さ』への痛烈な一撃でもあった」と指摘。とりわけ怒りをあらわにしたのは、昨季終了後にステーファノ・ピオーリが退任した際、「ミランファンがコンテ招聘のためにオンライン署名運動まで起こした」にもかかわらず、パウロ・フォンセカ(シーズン中に解任し、その後にセルジオ・コンセイソンを起用)を選んだ点だった。

「コンテの招聘は、アイデンティティーも、リーダーシップも、野心も失ったミランを立て直すための、まさに完璧なチャンスだった。(中略)しかし、シニアアドバイザーのズラタン・イブラヒモビッチは、コンテを一言で切り捨てた。『彼はミランの理想ではない。我々が求めるものではない』。この発言は、傲慢で的外れだった。そしてそのせいで、沈みゆくクラブにとって唯一の現実的な再起のチャンスが握り潰された」

『Milan News.it』は、ナポリの栄光を自チームへの痛烈な批判につなげた。

構成●THE DIGEST編集部

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