しかし、弱体化の理由を別に求める者もいる。著名なスポーツ・コラムニストのラウテル・ノゲイラ氏がリオデジャネイロのスポーツ紙『LANCE!』で、「フィジカル面での準備不足が、サッカー王国におけるもっとも大きな問題」だと主張した。

　ノエイラ氏は代表レベルにおけるブラジルの苦戦を「我々が“ボールの芸術”で世界を魅了する力を失った証拠。結論から言えば、我々はフィジカルで劣り、かつて誇った高い技術力も、今や欧州の整った芝生の上でこそ発揮されるようになってしまった」と指摘する。

「何十年も前から言われているが、ブラジルサッカーのカレンダーにはフィジカルトレーニングや技術向上のための時間が全くない。シーズン後の休暇明けに『プレシーズン』の期間が存在しないからだ。選手たちは長期休暇を経て、肥満に近い体型でチームに戻り、炎天下の夏に重要なフィジオロジーテストを受け、数日間の“奇跡的な回復作業”をフィジカルコーチたちが必死で行なう」
  　このような「無理やり体調を整えた」選手たちが強いられるのは、「狂気のようなスケジュールの中で戦うカンピオナート・ブラジレイロ（全国選手権）や各州選手権、コパ・ド・ブラジル、国際大会（コパ・スダメリカーナ、コパ・リベルタドーレス、場合によってはクラブW杯）で、これらが全て50週間未満のなかに押し込まれている」。

　その結果、「シーズン終盤の４月の終わり頃になると、悪夢のような光景が始まる。医務室は満員となり、外科医は手術に追われ、チームはA、B、Cとローテーションしながら、疲労や神経筋ストレスの検査結果を見て、誰を試合に出すかを決める始末。だから、結局のところ選手層の厚いチームだけが勝ち残る」のだ。