専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外サッカー

【現地発コラム】コンテとアッレーグリを襲う“時代の波”「長くても2シーズンで退任している事実は示唆的」「別の意味で限界を物語っているようにも」

片野道郎

2026.06.01

勝てば4位以上が確定だった最終節のカリアリ戦で、ミランは先制しながら逆転負けを喫した。(C)Getty Images

勝てば4位以上が確定だった最終節のカリアリ戦で、ミランは先制しながら逆転負けを喫した。(C)Getty Images

 そのアッレーグリが率いたミランがシーズン終盤に見せたあっけない崩壊ぶりは、大きな物議を醸すものだった。

 昨シーズン、2人の外国人監督(パウロ・フォンセカ、セルジオ・コンセイソン)を「灰にして」8位に終わったチームを引き受けると、ルカ・モドリッチ、アドリアン・ラビオという欧州最高レベルの経験・実績と強いパーソナリティーを備えたベテランを中心に、自身のサッカー哲学を反映する明確なスタイルを持ったチームを短期間で構築し、3月初めまで首位インテルに続く2位の座を守り続ける。

 ところが、そこからのラスト10試合で6敗を喫し、最後の最後で最低目標だった4位以内(=CL出場権)からも転落して、最悪の形でシーズンを終えることになった。

 失点回避を最優先してリスクを最小限に抑えて試合をコントロール、相手のミスや偶然がもたらしたチャンスを見逃さずにしっかりモノにし、奪ったリードを落ち着いて守り切る結果至上主義に徹したアッレーグリのスタイルは、スクデットという明確な目標が目の前にある間は機能した。

 ダービーの勝利後に発した、持ち前のリアリズムで「インテルとは戦力が違う。ここで浮き足立って我を失うのは愚の骨頂。我々の目標はあくまでCL出場権」と熱狂にブレーキをかけるようなコメントは、いい意味でも悪い意味でも監督としてのアッレーグリのあり方を象徴しているように見えた。

 しかし、続く29節のラツィオ戦で敗れてスクデットの可能性があっけなく消え、4位以内が本当に唯一の目標になると、チームは前を見るよりも後ろを気にしてポジティブなエネルギーを失い、リスクを怖れる消極的な戦いに終始するようになっていく。

 続く6試合は2勝1分け3敗。ネガティブな状況を敏感に感じ取ったサポーターは、優勝を求めずCL出場権(がもたらす収益)にしか興味を持たないクラブ運営はミランの歴史と伝統への裏切りでありサポーターへの侮辱であるとして、米国資本オーナーとその下で経営を取り仕切るジョルジョ・フルラーニCEOに厳しい抗議の矢を向け、5月10日のアタランタ戦(36節)の途中で応援をボイコットする。こうしてチームを取り巻く環境はますますネガティブな空気に包まれていった。

 
 勝てば4位以内が確定したにもかかわらず、開始2分に先制したその瞬間からリードを守ることしか考えていないかのようにベタ引きした揚げ句、同点どころか逆転まで許して自滅した最終節のカリアリ戦は、(結果論を承知で言えば)訪れるべくして訪れた結末だったのかもしれない。

 2021-22シーズンにユベントスに復帰してからの3年間も含め、手放しでポジティブに評価できるシーズンを送っていない事実は、コンテとは別の意味でアッレーグリという監督の限界を物語っているようにも思えてくる。

 オーナーのジェリー・カルディナーレは、この結末を受けて、フルラーニCEO以下、テクニカルダイレクターのジェフロワ・モンカダ、スポーツダイレクターのイグリ・ターレ、そして監督のアッレーグリと、マネジメント、強化、チームという3部門すべての責任者を解任し、ミランを一旦更地にして一から再構築しようとでもいうような取り組みを進めている。

 後任のCEOや監督については、何人か候補の名前が挙がっているものの、本稿執筆時点ではまったく未定と言っていい状態。ミランというクラブのアイデンティティーをどこに求めるのか、まったく見えてこないことも含めて、迷走中、という言い方が最も似合うかもしれない。

 ミランでの仕事をこのような形で終えたにもかかわらず、ナポリを率いることになったアッレーグリに関しては、「捨てる神あれば拾う神あり」という皮肉めいた諺が頭をよぎったりもするが、コンテが残したチームをどのように再構築しようとするのか、時代の洗礼を受けたようにも見えるそのメソッドはまだ通用するのかなど、注目すべきポイントは少なくない。正式就任後の第一声がまずは楽しみである。

文●片野道郎

【動画】セリエA最終節のナポリvsウディネーゼ、ミランvsカリアリのハイライト
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号

  • soccer_digest

    6月3日(水)発売

    定価:980円 (税込)
  • world_soccer_digest

    5月21日(木)発売

    定価:890円 (税込)
  • smash

    5月21日(木)発売

    定価:800円 (税込)
  • dunkshot

    4月24日(金)発売

    定価:1100円 (税込)
  • slugger

    5月22日(金)発売

    定価:1100円 (税込)