新戦力の中には、1年前にリーベル・プレートから鳴り物入りでレアル・マドリーに移籍した19歳の左利きファンタジスタ、フランコ・マスタントゥオーノ、W杯でコートジボワール代表の中盤を支えた20歳のクリスト・イナオ・ウライ、パラティチSD自身がユベントス時代に育てトッテナムに獲得したルーマニア代表CBラドゥ・ドラグシンといった、興味深い名前が並んでいる。
注目すべきは、獲得された新戦力のほぼ全員が、実績はまだ少ないが大きな伸びしろを残した20代前半のタレントであること、そしてその人選がグロッソのチーム構想と密接に結びついているところだ。本稿執筆時点(8月20日)での新戦力は以下のような顔ぶれだ。
DF
ラドゥ・ドラグシン(トッテナムからレンタル/ルーマニア代表・24歳)CB
ヴィエリ(グレミオ/ブラジル・21歳)CB
ビクトル・バルデペニャス(R・マドリー/スペインU-19代表・19歳)CB/左SB
ジョアン・マリオ(ユベントスからレンタル/ポルトガル代表・26歳)右SB
アレックス・ヒメネス(ボーンマスからレンタル/スペインU-21代表)右SB/右WG
MF
クリスト・イナオ・ウライ(トラブゾンスポル/コートジボワール代表・20歳)CMF
アルトゥール・アッタ(ウディネーゼ/フランス・23歳)CMF
FW
フランコ・マスタントゥオーノ(R・マドリーからレンタル/アルゼンチン代表・19歳)右WG
マテオ・ペレグリーノ(パルマ/アルゼンチン・24歳)CF
イタリアのクラブの戦力補強は、目先の勝利に重点を置くあまり、即戦力として計算が立つ中堅やベテラン、セリエAですでに実績を残している選手をターゲットにする保守的な傾向が強い。その中で、実績よりも将来性を重視して潜在能力と伸びしろを備えた若手に的を絞って獲得する野心的な補強戦略は、注目と評価に値する。近年ではコモ、パルマといったクラブが同じ路線で成功を収めつつあり、フィオレンティーナもそれに追随した格好だ。
戦力的な観点から見ると、上記9人のうちレギュラークラスと呼べないのは、CFのペレグリーノくらい。他の8人は(少なくとも構想の上では)多くの試合でスタメンに名を連ねるであろう主力候補である。既存戦力も含めた予想メンバーは次のような4-3-3になるだろうか(新戦力は太字)。
GK:ダビド・デ・ヘア
DF:J・マリオ、ドラグシン、ヴィエリ、バルデペニャス
MF:シェール・エンドゥール(ロランド・マンドラーゴラ)、ニコロ・ファジョーリ(ウライ)、アッタ(マルコ・ブレシアニーニ)
FW:マスタントゥオーノ(A・ヒメネス)、モイゼ・ケーン(ペレグリーノ)、アルベルト・グズムンドソン
上記のように、昨シーズンから引き続き中核を担うのは、GKデ・ヘアとMFファジョーリ、FWグズムンドソンくらい。絶対的なエースストライカーと見られていたケーンには、今季CLに出場するコモからのオファーが届いており、移籍の可能性も少なからず残されている。
グロッソ監督の打ち出すサッカーは、ボール保持による主導権維持を基盤としながらも、状況が許せば攻撃を縦に加速して一気にフィニッシュを狙うことも厭わないモダンなスタイル。ビルドアップ時にはどちらかのSBが敵陣に進出して3-2-5の配置を取り、ボールロスト時には即時奪回を狙うゲーゲンプレッシング、非保持時も高めのブロックによるミドルプレス(トリガーによりマンツーマンハイプレスに移行)というのが基本原則だ。
新戦力の顔ぶれを見ると、まさにこの戦術スタイルにぴったり適合した選手が並んでいる。J・マリオとA・ヒメネスは、いずれも敵陣での攻撃参加を持ち味とするテクニカルなタイプのSBで、A・ヒメネスはウイングとしてもプレーできる。CBペアはドラグシンが対人に強いストッパータイプ、ヴィエリは左足からのビルドアップを持ち味とするタイプで補完性が高い。左のバルデペニャスはCBもSBもできるテクニシャンで、ビルドアップ時に内に絞って3バックの一角として機能することも、大外やハーフスペースを持ち上がって敵陣に進出することもできる興味深いタレントだ。
中盤のウライは的確なパスワークによるゲームメーク能力と、広いエリアをカバーするダイナミズムを合わせ持ったタレントで、ファジョーリとダブルボランチを組むこともできれば、インサイドハーフとして一列上で攻撃的に振る舞うこともできる。アッタは189センチの長身ながら柔らかいテクニックを備え、中盤でボールを持ったところからドリブルでマーカーをかわして一気に前進できる縦の推進力を備えた異色のインサイドハーフだ。
そしてマスタントゥオーノは、18歳の時にR・マドリーが5000万ユーロ(約93億円)を投じて獲得した事実が示す通り、ワールドクラスに成長するポテンシャルを備えた超逸材レフティー。右サイドから中央に向かって仕掛ける逆足ウイングで、ドリブル突破力以上にゴール、アシストで決定機を創出し得点に絡むクオリティーが傑出している。タイプ的には、R・マドリーが輩出したもう1人のアルゼンチン人レフティー、ニコ・パス(コモ)にも通じるものを持っているが、プレーはよりウイング的だ。
これだけ大幅に刷新された、しかし自身の戦術スタイルに適合した陣容を手にしたグロッソ監督は、プレシーズンを通して対外試合よりも毎日のトレーニングを優先し、時間をかけて選手の特性や相性を把握しながらチームの基盤を固めてきた。初の公式戦となった8月14日のコッパ・イタリア1回戦で、セリエBのベネベントを4-1と一蹴している。
フィオレンティーナの開幕戦は、日本時間25日(火曜日)早朝3時45分にキックオフするアウェーのローマ戦。強敵相手の難しい試合でどんな戦いを見せるのかが楽しみだ。
文●片野道郎
【画像30枚】2025-26シーズンのセリエAを彩ったスター選手30人――ラウタロ、バレッラ、パス、モドリッチ、ラビオ、ユルドゥズ、デ・ブライネ、ディバラ
注目すべきは、獲得された新戦力のほぼ全員が、実績はまだ少ないが大きな伸びしろを残した20代前半のタレントであること、そしてその人選がグロッソのチーム構想と密接に結びついているところだ。本稿執筆時点(8月20日)での新戦力は以下のような顔ぶれだ。
DF
ラドゥ・ドラグシン(トッテナムからレンタル/ルーマニア代表・24歳)CB
ヴィエリ(グレミオ/ブラジル・21歳)CB
ビクトル・バルデペニャス(R・マドリー/スペインU-19代表・19歳)CB/左SB
ジョアン・マリオ(ユベントスからレンタル/ポルトガル代表・26歳)右SB
アレックス・ヒメネス(ボーンマスからレンタル/スペインU-21代表)右SB/右WG
MF
クリスト・イナオ・ウライ(トラブゾンスポル/コートジボワール代表・20歳)CMF
アルトゥール・アッタ(ウディネーゼ/フランス・23歳)CMF
FW
フランコ・マスタントゥオーノ(R・マドリーからレンタル/アルゼンチン代表・19歳)右WG
マテオ・ペレグリーノ(パルマ/アルゼンチン・24歳)CF
イタリアのクラブの戦力補強は、目先の勝利に重点を置くあまり、即戦力として計算が立つ中堅やベテラン、セリエAですでに実績を残している選手をターゲットにする保守的な傾向が強い。その中で、実績よりも将来性を重視して潜在能力と伸びしろを備えた若手に的を絞って獲得する野心的な補強戦略は、注目と評価に値する。近年ではコモ、パルマといったクラブが同じ路線で成功を収めつつあり、フィオレンティーナもそれに追随した格好だ。
戦力的な観点から見ると、上記9人のうちレギュラークラスと呼べないのは、CFのペレグリーノくらい。他の8人は(少なくとも構想の上では)多くの試合でスタメンに名を連ねるであろう主力候補である。既存戦力も含めた予想メンバーは次のような4-3-3になるだろうか(新戦力は太字)。
GK:ダビド・デ・ヘア
DF:J・マリオ、ドラグシン、ヴィエリ、バルデペニャス
MF:シェール・エンドゥール(ロランド・マンドラーゴラ)、ニコロ・ファジョーリ(ウライ)、アッタ(マルコ・ブレシアニーニ)
FW:マスタントゥオーノ(A・ヒメネス)、モイゼ・ケーン(ペレグリーノ)、アルベルト・グズムンドソン
上記のように、昨シーズンから引き続き中核を担うのは、GKデ・ヘアとMFファジョーリ、FWグズムンドソンくらい。絶対的なエースストライカーと見られていたケーンには、今季CLに出場するコモからのオファーが届いており、移籍の可能性も少なからず残されている。
グロッソ監督の打ち出すサッカーは、ボール保持による主導権維持を基盤としながらも、状況が許せば攻撃を縦に加速して一気にフィニッシュを狙うことも厭わないモダンなスタイル。ビルドアップ時にはどちらかのSBが敵陣に進出して3-2-5の配置を取り、ボールロスト時には即時奪回を狙うゲーゲンプレッシング、非保持時も高めのブロックによるミドルプレス(トリガーによりマンツーマンハイプレスに移行)というのが基本原則だ。
新戦力の顔ぶれを見ると、まさにこの戦術スタイルにぴったり適合した選手が並んでいる。J・マリオとA・ヒメネスは、いずれも敵陣での攻撃参加を持ち味とするテクニカルなタイプのSBで、A・ヒメネスはウイングとしてもプレーできる。CBペアはドラグシンが対人に強いストッパータイプ、ヴィエリは左足からのビルドアップを持ち味とするタイプで補完性が高い。左のバルデペニャスはCBもSBもできるテクニシャンで、ビルドアップ時に内に絞って3バックの一角として機能することも、大外やハーフスペースを持ち上がって敵陣に進出することもできる興味深いタレントだ。
中盤のウライは的確なパスワークによるゲームメーク能力と、広いエリアをカバーするダイナミズムを合わせ持ったタレントで、ファジョーリとダブルボランチを組むこともできれば、インサイドハーフとして一列上で攻撃的に振る舞うこともできる。アッタは189センチの長身ながら柔らかいテクニックを備え、中盤でボールを持ったところからドリブルでマーカーをかわして一気に前進できる縦の推進力を備えた異色のインサイドハーフだ。
そしてマスタントゥオーノは、18歳の時にR・マドリーが5000万ユーロ(約93億円)を投じて獲得した事実が示す通り、ワールドクラスに成長するポテンシャルを備えた超逸材レフティー。右サイドから中央に向かって仕掛ける逆足ウイングで、ドリブル突破力以上にゴール、アシストで決定機を創出し得点に絡むクオリティーが傑出している。タイプ的には、R・マドリーが輩出したもう1人のアルゼンチン人レフティー、ニコ・パス(コモ)にも通じるものを持っているが、プレーはよりウイング的だ。
これだけ大幅に刷新された、しかし自身の戦術スタイルに適合した陣容を手にしたグロッソ監督は、プレシーズンを通して対外試合よりも毎日のトレーニングを優先し、時間をかけて選手の特性や相性を把握しながらチームの基盤を固めてきた。初の公式戦となった8月14日のコッパ・イタリア1回戦で、セリエBのベネベントを4-1と一蹴している。
フィオレンティーナの開幕戦は、日本時間25日(火曜日)早朝3時45分にキックオフするアウェーのローマ戦。強敵相手の難しい試合でどんな戦いを見せるのかが楽しみだ。
文●片野道郎
【画像30枚】2025-26シーズンのセリエAを彩ったスター選手30人――ラウタロ、バレッラ、パス、モドリッチ、ラビオ、ユルドゥズ、デ・ブライネ、ディバラ




