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海外サッカー

「最後のパトロン型オーナー」コンミッソ会長を失ったフィオレンティーナの未来――「財政的な不安要素は一切存在していない。問題は…」【現地発コラム】

片野道郎

2026.01.20

1月16日、フィオレンティーナのコンミッソ会長が息を引き取った。(C)Getty Images

1月16日、フィオレンティーナのコンミッソ会長が息を引き取った。(C)Getty Images

 1月16日、かねてから病気療養中だったフィオレンティーナのロッコ・コンミッソ会長が、ニューヨークの病院で死去した。2019年にクラブを買収して以来、全権を握ってクラブを運営してきた76歳のオーナー会長を失ったフィオレンティーナの未来は今、不確定要素に満ちている。

 コンミッソ会長は、南イタリア・カラブリア州から12歳で家族と共にアメリカに渡ったイタリア系アメリカ人。コロンビア大学卒業後にビジネスの道に入り、自宅のガレージで創業したケーブルTV会社『メディアコム』を、アメリカで7番目の規模にまで成長させて億万長者になった立志伝中の人物だ。

 幼少期から親しんでいたサッカーをアメリカに渡ってからも続け、スポーツ奨学生として大学に入ったほどのサッカー好きで、1972年ミュンヘン五輪の代表候補に入っていたとも伝えられる。ビジネスで大きな成功を収め引退も近くなった2010年代後半、セリエAのクラブ買収に動いたのは「母国イタリアに恩返ししたい」という動機からだった。

 2018年には、当時中国人オーナーの手中にあったミランの買収に近づいたが交渉が成立せず、翌19年に高級ブランドTod'sのオーナーであるデッラ・ヴァッレ家から、フィオレンティーナを約1億5000万ユーロ(当時約180億円)で買い取った。

 それからの6年あまり、フィレンツェ郊外のバーニョ・ア・リーポリにイタリアはもちろん欧州でも最先端のトレーニングセンター「ヴィオラ・パーク」を建設するなど、中長期的な視点に立ったクラブの基盤強化に努めながら、UEFAカンファレンスリーグ2年連続決勝進出、コッパ・イタリア決勝進出など、ピッチ上でも一定の成果を積み上げてきた。

 
 不運だったのは、買収以来ゼネラルダイレクター(GD)としてクラブ経営の全権を担っていた「片腕」ジョー・バローネが24年3月、遠征先のベルガモで心臓発作に見舞われ、57歳の若さで世を去るという不測の事態に見舞われたこと。すでに70代半ばを迎えていたコンミッソにとって、フィオレンティーナを次の世代にまで引き継いで行くうえで、全幅の信頼を寄せて経営を委ねられるバローネの存在が決定的に重要だったことは容易に想像がつく。

 バローネを失ってからの2年間は、後任のGDに就いたイタリア人アレッサンドロ・フェラーリ、メディアコムの財務責任者でもあるアメリカ人マーク・ステファンの2人がクラブ経営を担ってきた。その一方でコンミッソは、ここ1年あまり健康状態が徐々に悪化し、それまでのように年に数回フィレンツェを訪れることもできなくなった。アメリカ側のオーナーシップ、イタリア側のガバナンスの双方が、それぞれ弱体化したような格好だった。

 はたして、昨シーズン後半から今シーズンにかけてフィオレンティーナには、クラブの内部で何かが噛み合わなくなったかのように、ネガティブな出来事が立て続けに起こる。チーム強化を巡る意見の相違によるラファエッレ・パッラディーノ監督の辞任(25年5月)、後任に招聘したステーファノ・ピオーリ監督とチーム陣容のミスマッチによる今シーズン前半の大不振(9月の最下位転落)、コンミッソによる買収当初から強化責任者を努めてきたダニエレ・プラデSD(スポーツダイレクター)の引責辞任(11月)――。

 コンミッソ会長を失った今、フィオレンティーナはどうなるのだろうか。チームはピオーリの後任パオロ・ヴァノーリ監督の下でどうにか降格圏を脱出し、プラデの後任には2月から元ユベントス、トッテナムのファビオ・パラティチの就任が決まるなど、立て直しは少しずつ進んでいる。クラブの財政はきわめて健全であり、負債はゼロ。UEFAやFIGC(イタリアサッカー連盟)の財務基準はすべて余裕でクリアしている。そうした面で、クラブの存続に関して不安要素は一切存在していない。

 
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