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Jリーグ・国内

常勝軍団の第一歩。「鹿島強し」を高らかに宣言した忘れ得ぬ“7月7日“の記憶

小室功

2020.07.07

 人一倍動き回り、献身的で、汗かき役をいとわないボランチは、当時を振り返り、こんなエピソードも語っている。

「実は、前泊したホテルの部屋番号が707。いつも7番をつけているアルシンドが出場停止だったので、その代わりに僕が7番のユニフォームを着ました(背番号は固定制ではなく、スタメンが1番から11番までをつけていた)。それに、試合の日が7月7日でしたからね。僕はふだんゴールを決めるようなタイプではないけれど(苦笑)、この日は何かあるかなと感じていました」

 チームの勝利のために黒子に徹する石井が大仕事をやってのけ、一躍脚光を浴びた。“みんなで勝つこと”を是とする鹿島のマインドを象徴するような試合となった。

 そして55分、追加点を奪ったのはFWの黒崎比差支(現・久志)だ。彼がもっとも得意とする地をはうような弾丸シュートではなく、泥臭くこぼれ球をつめた格好だが、自力優勝を手繰り寄せるうえで、貴重な1点となった。

 Jリーグ開幕前、日本代表の活動のために鹿島を離れていた黒崎はチームに戻ってみると、その仕上がりに驚かされたという。ひとりだけ出遅れた感があった。代表キャリアを持っていても自分のポジションが約束されているわけではない。試合に出るにはチーム内の競争に勝ち、はい上がっていくしかない。それを痛感させられた。

 スタメンの座を取り戻したのは7節の横浜M戦からだった。こんな経緯があっただけに、優勝を決定づけた浦和戦での追加点には、黒崎自身、喜びもひとしおだったことだろう。
 
 2-0のまま時間が経過し、タイムアップが近づく。ジーコやアルシンドはチームスタッフとともに自陣ベンチの後方あたりに立ちながら戦況を見つめていた。試合終了のホイッスルが吹かれた瞬間、喜びを爆発させた。

 16節終了時点で、13勝3敗、39得点14失点、得失点差25。堂々たる戦績を残した鹿島がサントリーシリーズ初代王者に上り詰めた。

 負傷を繰り返してしまい、サントリーシリーズでは3試合のみの出場にとどまったジーコは「誰かひとりに頼りきるのではなく、チームにかかわるすべての人たちが一丸となって勝ち取ったタイトル。そこに意味がある」と、仲間たちの健闘をたたえた。

 93年のサントリーシリーズ初優勝は通算20冠に含まれていない。だが、鹿島にとって何ものにも代えがたい最初の栄誉にほかならない。それを成し遂げた7月7日は、チームスピリットの原点に立ち返る重要な一日といえるだろう。

文●小室功(オフィスプリマベーラ)

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