雨でプレーしづらくなるのは、誰であっても同じ。イレギュラーやクリアミスが起きやすい状況で、ゴール前に次々とボールを放り込まれ、ミャンマーのDFは苦しんだはず。日本は引いたミャンマーに対し、最適な手順で試合に入った。その後、膠着をぶち破ったのは中島翔哉の個の力だが、そこへ至るまでの日本の戦略も安定していた。
それは自体は良いこと。しかし、今後のお互いの成長を踏まえるなら、ミャンマーには“前からくる”をチョイスしてほしかった、というのが正直なところだ。
強い雨、荒れたピッチの中で、ハイプレスをかけられれば、日本も少なからず慌てたはずだ。そうした状況は、歴代の日本代表もずっと苦手にしており、ショートカウンターを食らう場面は容易に想像できた。ミャンマーには、日本に多くの課題を残してほしかった。
ところが、この2次予選というリーグ戦は、ひとつの特殊性がある。それはワールドカップ予選とアジアカップ予選を兼ねている、ということ。ミャンマーやモンゴル、タジキスタンといったチームが、今予選で現実的に捉えているのは、アジアカップへの出場であり、ワールドカップではない。 リーグ首位と2位の勝点上位チームに、ワールドカップ最終予選の切符が与えられる一方、この2次予選は、3位や4位の勝点上位チームに、アジアカップ最終予選(3次予選)への切符も与えられる。つまり、ミャンマーが現実的に考えるのは、いかに3位になるかであり、首位ではない。
つまり、奇妙な言い方だが、圧倒的本命の日本に対しては“いかに僅差で負けるか”が大事。もちろん、引き分けなら最高の結果だが、1点差の負けでも、全然悪くない。なぜなら、他のチームは日本戦で、それ以上に点を取られる可能性が高いから。そう考えると、ホームで、雨やピッチの条件があったとしても、ミャンマーが引く戦い方に落ち着いたのは理解できる。これは目標の問題だ。
ワールドカップとアジアカップ。ふたつの思惑が交差する、2次予選。
単純に実力差が大きいため、日本にとっては強化面で大きな障害となることが伝えられているが、それだけではなく、戦略的にも相手が日本を過剰にリスペクトし、本来与えられるべき課題が与えられない。そんな傾向も強くなる。
果たして森保監督は、この2次予選から、どのように日本の成長点を見出すのか。メンバーを代えるか、東京五輪メンバーを増やすか。来月のモンゴル戦、タジキスタン戦で連勝し、勝点を9に伸ばせば、いろいろな方向性が見えてくるのではないか。
取材・文●清水英斗(サッカーライター)
それは自体は良いこと。しかし、今後のお互いの成長を踏まえるなら、ミャンマーには“前からくる”をチョイスしてほしかった、というのが正直なところだ。
強い雨、荒れたピッチの中で、ハイプレスをかけられれば、日本も少なからず慌てたはずだ。そうした状況は、歴代の日本代表もずっと苦手にしており、ショートカウンターを食らう場面は容易に想像できた。ミャンマーには、日本に多くの課題を残してほしかった。
ところが、この2次予選というリーグ戦は、ひとつの特殊性がある。それはワールドカップ予選とアジアカップ予選を兼ねている、ということ。ミャンマーやモンゴル、タジキスタンといったチームが、今予選で現実的に捉えているのは、アジアカップへの出場であり、ワールドカップではない。 リーグ首位と2位の勝点上位チームに、ワールドカップ最終予選の切符が与えられる一方、この2次予選は、3位や4位の勝点上位チームに、アジアカップ最終予選(3次予選)への切符も与えられる。つまり、ミャンマーが現実的に考えるのは、いかに3位になるかであり、首位ではない。
つまり、奇妙な言い方だが、圧倒的本命の日本に対しては“いかに僅差で負けるか”が大事。もちろん、引き分けなら最高の結果だが、1点差の負けでも、全然悪くない。なぜなら、他のチームは日本戦で、それ以上に点を取られる可能性が高いから。そう考えると、ホームで、雨やピッチの条件があったとしても、ミャンマーが引く戦い方に落ち着いたのは理解できる。これは目標の問題だ。
ワールドカップとアジアカップ。ふたつの思惑が交差する、2次予選。
単純に実力差が大きいため、日本にとっては強化面で大きな障害となることが伝えられているが、それだけではなく、戦略的にも相手が日本を過剰にリスペクトし、本来与えられるべき課題が与えられない。そんな傾向も強くなる。
果たして森保監督は、この2次予選から、どのように日本の成長点を見出すのか。メンバーを代えるか、東京五輪メンバーを増やすか。来月のモンゴル戦、タジキスタン戦で連勝し、勝点を9に伸ばせば、いろいろな方向性が見えてくるのではないか。
取材・文●清水英斗(サッカーライター)