このように振り返ったレジェンドの初陣について、セルビアのメディアは概ね高評価。『PTC』は「この試合でのチームのパフォーマンスと、勝利へのプロセスは、代表チームの立て直しに向けた良い一歩となりそうだ。我が国の歴史において最も偉大なサッカー選手のひとりは、その使命の完遂に向けて最良のスタートを切った」と綴った。

　セルビアといえば、ストイコビッチ自身が選手として最後に出場した1998年フランス・ワールドカップ（ベスト16）以降、セルビア・モンテネグロ、セルビアと名前を変えた母国は、予選敗退か本大会でのグループリーグ敗退を繰り返している。欧州選手権（EURO）にいたっては、彼のキャリアにおいて最後のビッグイベントとなった2000年大会（ベスト８）を最後に、21世紀に入ってからは一度も本大会へ進めていない。
  　今年、１年遅れで開催予定のEURO2020の予選では、プレーオフでスコットランドに敗れて涙を飲んだ、かつての強国。『PTC』は、セルビア・サッカー界を荒廃させた元凶として、組織犯罪への関与が疑われて辞任したスラビシャ・コケザ前サッカー協会会長とその取り巻きを糾弾した後、“廃墟”からの復興のために、国の英雄に対して、「A代表は全ての鏡である」として、大きな期待を示した。

　ひとまず、幸先の良いスタートを切ったストイコビッチ監督。次戦では欧州王者との厳しい戦いを迎えるが、目標である予選突破に向けて可能性を見出せるような戦いを演出することができるか。

構成●THE DIGEST編集部