同メディアが記事でも触れている通り、今回の賞は2022年12月19日（カタール・ワールドカップ決勝の翌日）から2023年８月20日までの期間におけるプレーを評価するものである。FIFAは公式サイトにおいて、リーグアン連覇、同リーグでのベスト11入り、代表での通算100ゴール到達、いきなり決勝点を挙げたインテル・マイアミでの鮮烈デビューといったメッシの業績を挙げ、リオネル・スカローニ代表監督、デイビッド・ベッカム（インテル・マイアミ共同オーナー）、ネイマールの賛辞を紹介し、受賞の正当性を強調した。
  　しかし、昨年末のバロンドール受賞時にも論争が巻き起こったように、今回もこの結果には多くの批判的な意見も寄せられている。とりわけ、昨夏にプレミアリーグ、FAカップ、チャンピオンズリーグ（CL）の「トレブル」を成し遂げたマンチェスター・シティで、得点にまつわるあらゆるランキングのトップに立ったハーランドは、多くの人々から本命と目されていただけに、彼こそが受賞に相応しいと主張する声は非常に多い。

　彼の母国メディアも同様で、日刊紙『Adresseavisen』は「完全に間違っている」との見出しを打って強い不満を示し、「監督やメディアからは評価されたノルウェーのゴールマシンがマンCでの冒険的な最初のシーズンで残したものは、ファンや代表チームのキャプテンたちにとっては重要なものではなかった」と皮肉り、「昨年の統計を見れば、ハーランドが個人的な勝者に値する。世界中がメッシに敬意を表しているが、2023年は別の選手がより優れていた」と指摘した。

　また、「スキャンダルと呼ぶべき」「非常に奇妙な結果だ。受賞者はハーランドでなければならなかった」との国内外の有識者の声も紹介した同メディアは、女子の最優秀選手がCLとW杯の両方を制したバルセロナ所属のスペイン代表MFアイタナ・ボンマティ、男子の最優秀監督はマンCのペップ・グアルディオラと、いずれも「驚くべきことではなかった」受賞だったことと比較し、男子最優秀選手だけが公平性とバランスを欠く判定だったと批判している。

　イギリスの日刊紙『Daily Mail』は、この表彰式に出席したハーランドの父親で、元ノルウェー代表DFのアルフ＝インゲ・ハーランドが、メッシの受賞が発表された瞬間に眉をひそめ、周囲が拍手を贈る間も厳しい表情のままだったことを伝えたが、この記事の中でメッシについては「2023年は比較的静かな１年を過ごしたが、歴史上最も偉大な選手のひとりとしてハーランドとエムバペを上回ったことからも、依然として価値があることは明らかだ」と、「不公平感」を抱きながらも、結果に対する理解を示した。

構成●THE DIGEST編集部
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