昨年、イングランド代表として臨んだウェンブリーでのオーストラリア戦（10月）とマルタ戦では、前述の入団時の経緯により自国ファンからブーイングを浴びており、同メディアは「これが心に強く刺さったのかもしれない」と推測するが、いずれにせよヘンダーソンは、数百万ドルというサウジでの税金を自腹で支払った上で欧州に戻ることになるという。

　政治体制や文化に対する反感もあり、サウジの札束攻勢に対しては否定的かつ攻撃的な論調を展開しがちな英国のメディアだけに、この件について「サウジマネーの誘惑に頭を悩ませている選手たちにとっての良い教訓となるだろう」と記事を締めているが、実際にアル・イテハドのカリム・ベンゼマにも退団の噂が流れるなど、他の地域から到来した選手にとって、サウジが特殊で難しい環境であることは確かのようだ。

　さて、ヘンダーソンの件を受け、英国のサッカー専門サイト『Football365』は、「無謀な移籍で失敗した選手」と題した記事で、8つのケース（選手）を紹介。ヘンダーソンに対しては「シーズンの半分の滞在で、その法外な報酬を受ける価値はあったのだろうか？」と皮肉り、同じく昨夏にセルティックからアル・イテハドに移るも、プレーできない状況にあるジョタについて「ポルトガルのウインガーは24歳という全盛期での自身の決断を後悔しているようだ」と綴った。
  　他では、2021年にインテルでスクデット獲得に貢献した後にチェルシーに移籍してこれを後悔していることを告白したロメル・ルカク、2019年に古巣アトレティコ・マドリーのファンから非難されながらバルセロナに移籍するも結局フィットできず、2年後に出戻りを余儀なくされたアントワーヌ・グリーズマンの名前が挙がり、2008年にニューヨーク・レッドブルズからビジャレアルに19歳で引き抜かれたアメリカ人ストライカーのジョジー・アルティドールが、早すぎる移籍で活躍できずに終わったのも失敗例に含まれた。

　また、2018年にアーセナルからマンチェスター・ユナイテッドに加入して伝統の背番号7を与えられたが、インパクトを残せずに終わったアレクシス・サンチェス（現インテル）の他、“悪童”マリオ・バロテッリ（2014年）とアンディ・キャロル（2011年）のリバプール加入も挙げられ、同メディアは前者について「アンフィールドでの大失敗が彼の地位に終焉を告げた」、後者には「ニューカッスルに留まっていればどんな選手になっただろうか？」とそれぞれ綴っている。

構成●THE DIGEST編集部