専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外サッカー

【EURO2024総括コラム】「トレンドがはっきり表われた」今後の代表チームに問われるテーマは、「チームとして能動的かつ積極的な戦術を確立して戦えるかどうか」

片野道郎

2024.07.18

中堅国のスイス(左上)やトルコ(右上)が躍進。小国のスロバキア(左下)やジョージア(右下)の決勝トーナメント進出も今大会の話題となった。(C)Getty Images

中堅国のスイス(左上)やトルコ(右上)が躍進。小国のスロバキア(左下)やジョージア(右下)の決勝トーナメント進出も今大会の話題となった。(C)Getty Images

2)攻撃だけでなく守備でも能動性が求められている

 今大会を通じて、結果はともかくサッカーの内容という点で大きな注目と評価を集めたチームを挙げるとすれば、強豪国ではスペインに加えてドイツ、中堅国ではスイス、トルコ、オーストリアということになるだろう。

 これらの国々に共通するのは、攻撃の局面においてシステマチックな組織的連携によるビルドアップや崩しのメカニズムを持っている点だ。敵陣に進出した後は多くの人数を前線に送り込んで攻め切ることはもちろん、守備の局面においても、相手にボールを持たせて受けに回るのではなく、自ら前に出ていくアグレッシブなプレッシングによって、敵陣でボールを奪回しようとする能動的かつ積極的な姿勢を、攻撃と同じように貫いた。

 スペインとドイツはともかく、中堅国に関してはトルコのアルダ・ギュレルを除けば際立ったタレントを擁しているわけではない。個のクオリティーで違いを作り出すのではなく、全員が連動性を持って組織的に振る舞いながら、攻守両局面で能動的かつ積極的な姿勢を貫くことで、格上の相手すらも困難に陥れた。
 
 例えばスイスは、秩序の取れたマンツーマンのハイプレスによってイタリアやイングランドの攻撃を封じ込め、攻めてはウイングバックやセンターバックまでが敵陣深くに進出して局地的な数的優位を作り出すアグレッシブで勇敢なサッカーで、強い印象を残した。

 オーストリアも、敵GKにまでプレッシャーをかけるハイプレス、そしてボールを失った瞬間から一気に前に出て即時奪回を狙うゲーゲンプレッシング、常に前方のスペースにボールをつなごうとする縦指向の強い組織的攻撃で、フランス、オランダを尻目にグループDを首位で勝ち上がっている。

 中堅国でも、セルビアやポーランドは、受動的なサッカーに終始。ドゥシャン・ヴラホビッチ、ロベルト・レバンドフスキという強力なアタッカーに質の高いボールを供給することができず、1勝も挙げられないままグループ最下位での敗退を余儀なくされている。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号