3)中堅国のレベルアップと欧州サッカー全体の平準化
前回大会から出場国が「24」に増え、UEFA全加盟国「55」のうち半分近くが本大会に参加できるようになったことで、ジョージア、アルバニア、スロバキアといった小国にも出場のチャンスが巡ってきた。
ワールドカップでは出場国が増えるに伴って全体の平均レベルが下がり、どの相手にも歯が立たずに敗退する国が出るなど、必ずしもポジティブな側面だけではないが、EUROに関しては、そうしたレベルダウンの兆候は見られなかった。
3戦全敗で敗退した国はゼロ。各グループ3位の6チーム中、成績上位の4チームがベスト16に進出できるレギュレーションもあって、どのグループでも最終節まで緊迫した状況が続き、勝ち上がりを決めた国が大胆なターンオーバーを行なうような、いわゆる消化試合は極めて少なかった。
クロアチア、セルビア、ポーランドといった、欧州クラブシーンのトップレベルで活躍するスター選手を擁したチームがグループステージで敗退する一方、ジョージア、オーストリア、スロバキア、スロベニアという中堅国がベスト16に勝ち上がっている。
優勝したスペインを筆頭に、ドイツ、イングランド、フランス、ポルトガル、オランダといった強豪国が、今なお中堅国以下とは明らかに1ランク違う強さを誇っていることは確かだ。
しかし、その一方でイタリアやベルギーのような伝統国が、結果だけでなく内容的にも説得力を欠いた戦いぶりしか見せられずにベスト16で敗退。かたやスイス、トルコがベスト8に勝ち上がるなど、中堅国の底上げとそれに伴う全体のレベル平準化という近年の欧州サッカーのトレンドが、このEUROにはっきりと表われていた。
それはスウェーデン、アイルランド、ウェールズ、ギリシャといったW杯やEUROにしばしば顔を見せる中堅国が、今大会では予選敗退に終わったという事実にも表われている。今後は、トップレベルのタレントを輩出できるかどうかだけでなく、チームとして能動的かつ積極的な戦術を確立して戦えるかどうかが、強豪国から中堅国以下まで、全ての代表チームに問われるテーマになっていくのかもしれない。
文●片野道郎
【関連記事】スペインが“圧倒的な強さ”で頂点に立てた理由とは――「代表レベルでも、攻撃をタレント力だけに頼る“堅実路線”では不十分の時代が来た」【EURO2024コラム】
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ワールドカップでは出場国が増えるに伴って全体の平均レベルが下がり、どの相手にも歯が立たずに敗退する国が出るなど、必ずしもポジティブな側面だけではないが、EUROに関しては、そうしたレベルダウンの兆候は見られなかった。
3戦全敗で敗退した国はゼロ。各グループ3位の6チーム中、成績上位の4チームがベスト16に進出できるレギュレーションもあって、どのグループでも最終節まで緊迫した状況が続き、勝ち上がりを決めた国が大胆なターンオーバーを行なうような、いわゆる消化試合は極めて少なかった。
クロアチア、セルビア、ポーランドといった、欧州クラブシーンのトップレベルで活躍するスター選手を擁したチームがグループステージで敗退する一方、ジョージア、オーストリア、スロバキア、スロベニアという中堅国がベスト16に勝ち上がっている。
優勝したスペインを筆頭に、ドイツ、イングランド、フランス、ポルトガル、オランダといった強豪国が、今なお中堅国以下とは明らかに1ランク違う強さを誇っていることは確かだ。
しかし、その一方でイタリアやベルギーのような伝統国が、結果だけでなく内容的にも説得力を欠いた戦いぶりしか見せられずにベスト16で敗退。かたやスイス、トルコがベスト8に勝ち上がるなど、中堅国の底上げとそれに伴う全体のレベル平準化という近年の欧州サッカーのトレンドが、このEUROにはっきりと表われていた。
それはスウェーデン、アイルランド、ウェールズ、ギリシャといったW杯やEUROにしばしば顔を見せる中堅国が、今大会では予選敗退に終わったという事実にも表われている。今後は、トップレベルのタレントを輩出できるかどうかだけでなく、チームとして能動的かつ積極的な戦術を確立して戦えるかどうかが、強豪国から中堅国以下まで、全ての代表チームに問われるテーマになっていくのかもしれない。
文●片野道郎
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