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海外サッカー

イタリア代表がベルギーと2ー2ドローも…「38分まで試合を一方的に支配し、10人で勝点1を守った側面に焦点を当てるべき」【現地発コラム】

片野道郎

2024.10.12

38分にペッレグリーニが一発退場。後方からのスライディングでテアテを削ってしまった。(C)Getty Images

38分にペッレグリーニが一発退場。後方からのスライディングでテアテを削ってしまった。(C)Getty Images

 ペッレグリーニのファウルに最初はイエローカードが出されたものの、直後にVARが介入して一発レッドに判定を変更。イタリアはひとり人少ない10人になっただけでなく、このファウルがもたらした直接FKから失点して2ー1とされてしまう。ここから試合終了までの50分間は、それまでとはまったく違う試合になった。

 ベルギーのテデスコ監督は、数的優位のメリットを最大限に活かそうと、後半開始からドクを左サイドに移し、システムを本来の4ー2ー3ー1に変更して攻勢に出る。10人のイタリアは、ベルギーにボールを委ねて低い位置に5ー3ー1のブロックを敷き、防戦に徹する展開を強いられた。

 守勢一方になりながらも、中央を固く閉じた堅守のおかげで、最後までオープンプレーから決定機らしい決定機を作らせなかった点は評価に値する。とはいえ、61分に再びセットプレー(今度はコーナーキック)からレアンドロ・トロサールにゴールを許して、結果は2ー2の引き分け。10人になるまではほぼ一方的に試合をコントロールしていたことを考えれば、たったひとつのミスで勝点2を取り逃したのは痛恨事と言えるかもしれない。

 ただ、総合的に見れば、結果が引き分けに終わったというネガティブな側面よりも、11人で戦った最初の35分はほぼ一方的に試合を支配し、10人になってからも大きく崩れることなく勝点1を守り切ったというポジティブな側面に焦点を当てるべき試合だったことは確かだ。
 
 ペッレグリーニの退場をもたらした場面は、厳しいプレッシャー下にあっても後方からパスをつないで攻撃をビルドアップするという、このチームの主要なプレー原則に忠実であろうとした結果だ。

 しかし、パスを出すべき味方が全員マークされている状況では、リスクの少ないサイドや前線へのパスを選択するというのも、重要なプレー原則のひとつ。その点で、ペナルティーエリア角付近から中央に戻すパスコースを選んだバストーニは、後方から危険なタックルを試みたペッレグリーニと同じかそれ以上に軽率だったと言える。

 とはいえチームは、こうしたネガティブな経験を通しても成長していくものだ。この試合でも、多くの決定機に絡んだディマルコとカンビアーゾの「WBホットライン」、中盤の底からゲームを作るレジスタとしてますます自信に満ちたプレーを見せたMFサムエレ・リッチ、最前線で攻守両局面のハードワークを厭わず、フィニッシュでもいい仕事を見せるレテギ、最終ラインから中盤に上がってビルドアップに絡む「ジョン・ストーンズ・ロール」が冴え渡るリッカルド・カラフィオーリと、収穫は少なくなかった。

 そして何よりも、このネーションズリーグ初戦からルチャーノ・スパレッティ監督が導入した「インテルモデル」の3ー5―2がチームにしっかり定着し、全員が適材適所で効果的に機能している点は、今後に大きな希望を抱かせる。次の試合は14日のイスラエル戦。そして11月にはホームでフランス、アウェーでベルギーという勝負の2連戦が待っている。引き続き「アッズーリ」の成長ぶりを見守っていきたい。

文●片野道郎

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