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【インカレ女子】予選上がりの1年生、津田梨央が快進撃!「力が抜けていたのが良かった」と無欲で頂点へ<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2025.09.01

津田梨央はインターハイに続きインカレでも1年生で女王の座に就いた(左)。4年の宮田萌芳は準優勝(右上)。女子複は平田葵/金子さら紗がV(右下)。写真:スマッシュ編集部

 男子第93回・女子第69回を迎えた「2025年度 全日本学生テニス選手権大会」(インカレ)が8月25日から三重県・四日市テニスセンターで開催され、大会最終日の31日に各種目の決勝が行なわれた。女子シングルスは第2シードの宮田萌芳(早稲田大学4年)と、予選から勝ち上がった津田梨央(筑波大学1年)の対戦となり、津田が6-1、6-3で快勝して初の栄冠を手にした。

 大学女子テニスに新たなスターが誕生した。1年生で予選勝ち上がりの津田は、本戦でも1セットも落とすことなく頂点まで駆け上がった。しかも準決勝では非利き手を痛めていたとはいえ昨年の女王であり第1シードの山口花音(関西大学4年)を寄せ付けず、決勝でも第2シードの宮田を圧倒した。

 ほとんどのボールをライジングで捉えてウイナーを量産するばかりでなく、スライスやムーンボール、ドロップショットにネットプレーと、多彩な組み立てができるのが津田の強みだ。決勝ではこのライジングがよく機能した。

「打ち合いで自分から攻めていけたのが大きかった」と津田。「宮田さんはストロークが強くて安定しているので、打ち合いになるのはわかっていた」と言うが、「先にミスするか、決めるか、ぎりぎりのところで自分から攻めていけた。ベースラインからあまり下がらないようにした」と意図を明かす。

 攻めのテニスで第1セットを6-1で押し切ると、第2セットは宮田も粘りを見せたが、ペースはやはり津田が握っていた。宮田は「ちょっとずつ相手の方が我慢していた。自分は相手を見ながら攻めと守りのバランスを取れるのが強みだが、今日はそれが崩れてしまった」と悔やむ。
 
 いいラリーになっても、わずかな差で出るミスやウイナーでポイントを取るのは津田であり、それがスコア上では大きな開きとなる。第2セットも津田が6-3で奪い、一気にゴールまで駆け抜けた。

「信じられないの一言。勝てると思っていなくて、力が抜けていたのが良かった」と津田。

 彼女は2022年にインターハイを1年生で制した逸材だが、2年時はケガやコロナ感染で満足にプレーできず、3年時は「残り1年なので経験を積もう」とITF大会を回ったため、ジュニア・高校大会での実績はない。そのポテンシャルの高さは疑うべくもないのだが、プロではなく筑波大に入学したのは、文武両道を志したからだという。

 今後の目標を聞くと「とりあえずケガをしない、楽しくやれればいい」と具体的な言葉はなし。もともとガツガツせず、気負わない性格なのだそうだ。今後も肩の力が抜けたところを長所とし、のびのびと成長していってほしい。

 なお、女子ダブルス決勝は第1シードの平田葵/金子さら紗(早稲田大学4年/4年)が第3~4シードの星野桃花/大坪花(東京国際大学4年/4年)を7-6(4)、6-4で下し優勝。平田は昨年のインカレ、インカレ室内、今大会と3連勝で「全てペアが違うので、チャレンジャー精神でやり切れた」と語る。金子は「これまで全国大会で決勝に行っても3回準優勝で悔しかった。ラストに初めて同期と組み、長い時間を過ごしたペアで優勝できてうれしい」と振り返った。

◆女子シングルス決勝
津田梨央(筑波大学1年)[Q] 6-1、6-3 宮田萌芳(早稲田大学4年)[2]

◆女子ダブルス決勝
平田葵/金子さら紗(早稲田大学4年/4年)[1] 7-6(4) 6-4 星野桃花/大坪花(東京国際大学4年/4年)[3~4]

※[ ]内の数字はシード順位、Qは予選勝ち上がり

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【画像】2025年度全日本学生テニス選手権、シングルス&ダブルス決勝スナップ集

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