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シナー対策で15日間の特訓! アルカラスの恩師フェレーロが明かす全米優勝秘話「改善すべき点にフォーカスした」<SMASH>

中村光佑

2025.09.10

シナー対策で特訓を積んだアルカラス(右)は、恩師フェレーロ氏(左)が「完璧だった」と称賛するプレーで全米OPを制した。(C)Getty Images

 今季最後のテニス四大大会「全米オープン」の男子シングルス決勝でヤニック・シナー(イタリア/24歳/大会時世界ランキング1位)を破り、3年ぶり2度目の優勝と四大大会6勝目を手にしたカルロス・アルカラス(スペイン/22歳/同2位)。大会後に更新された世界ランキングではシナーを抜き、2023年8月以来約2年ぶりとなる1位返り咲きを果たした。

 最高峰の四大大会決勝では今回の全米が3大会連続の顔合わせとなった両者。今年6月の全仏オープン決勝はアルカラスが4-6、6-7(4)、6-4、7-6(3)、7-6[10-2]と5時間29分の大激戦の末に勝利したが、7月のウインブルドン決勝ではシナーが4-6、6-4、6-4、6-4でリベンジを果たしていた。

 アルカラスの課題は山積みだった。全仏決勝は勝ったとはいえシナーの3本のチャンピオンシップポイントを凌いでの勝利で、大会3連覇が懸かっていたウインブルドン決勝は第1セットこそ制したもののその後はシナーに主導権を奪われ、ほとんど完敗に近いような内容だった。

 そこで全米開幕前に「15日ほどの期間」を設け、「シナーとの再戦に向けて改善すべき点にフォーカスした練習をした」。そう明かしたのはアルカラスのコーチを務める元世界1位のホアン・カルロス・フェレーロ氏(スペイン/45歳)だ。
 
 全ては課題克服と宿命のライバルに雪辱を果たすため――。とにかくチーム一丸となってアルカラスのプレー改善に取り組んだとフェレーロ氏は言う。ATP(男子プロテニス協会)のインタビューで次のように語った。

「我々は彼(シナー)との対戦がハードコートのような球足の速いサーフェスでは非常に難しくなることを理解していたし、彼がハードコートで多くの試合に勝っていることもわかっていた。だから2週間のトレーニングはカルロスの大きな助けになったと思う。カルロス自身で何を改善すべきかを理解し、私もそこに焦点を当てるようにした」

 その成果は明確に表れた。「試合の準備をしっかりと整えた」アルカラスは22年に四大大会初優勝を経験した全米オープンで躍動。元世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア/大会時7位)との準決勝を含め全てストレートで勝ち上がると、現地7日の決勝ではシナーを相手に初めてセットを落とすも6-2、3-6、6-1、6-4で勝利した。

 見事に目標を達成した愛弟子をフェレーロ氏も絶賛。「決勝でのカルロスのプレーは完璧だった。信じられないパフォーマンスを見せてくれた」と締めくくった。

 かけがえのない恩師と共にニューヨークで最高の結果を手にしたアルカラス。今後も22歳のさらなる活躍に期待したい。

文●中村光佑

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