現在行なわれている女子テニスツアー「中国オープン」(中国・北京/ハードコート)のシングルスでベスト16進出を決めた元世界ランキング1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)が、3回戦勝利後の記者会見に登場。WTA(女子テニス協会)が設けている“出場義務規定”がツアースケジュールの過密化を助長していると強く批判した。
中国オープンは大会のグレードと日程は異なるものの男女共催(男子は9月25日~10月1日、女子は9月24日~10月5日/ATP500・WTA1000)で行なわれており、現地29日には女子3回戦と男子準々決勝の計12試合が実施された。ところがこの日は、女子ではシフィオンテクと対戦したカミラ・オソリオ(コロンビア/同83位)、ロイス・ボワソン(フランス/同41位)、ジェン・チンウェン(中国/同9位)の3名が途中棄権。男子でもヤクブ・メンシク(チェコ/同19位)とロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同9位)の2名がリタイアし、男女合わせて5名が同日に棄権するという異例の事態が発生した。
これまで何度もツアーの過密日程を糾弾してきたシフィオンテクは、上記の異常事態を受け、改めて選手の健康を考慮しないテニス界の現状に強い危機感を示した。彼女は男女問わず上位選手に出場義務が課されているトーナメントの多さに強い不満を抱いており、とりわけシーズン終盤に組まれているアジアツアーでは、移動距離の長さや時差調整の負担も重なり、体力面で過密日程の影響が顕著に表れると指摘している。
「シーズン後半はみんな疲れている。特にアジアツアーは、1年の終わりが近付いている中でまだ全力を尽くさないといけないこともあって、最も過酷だと思う。数年後の自分がどうしているかはわからないけど、出場義務のある大会でもいくつかは辞退する必要が出てくるかもしれない。WTAは義務的なルールを作りすぎて、スケジュールをめちゃくちゃにしてしまっている」
「そもそもトップ選手であってもこれだけの過密日程を完璧にこなせる人はいない。だから私たちは賢くやる必要がある。ルールを過度に気にするのではなく、自分にとって健康的な選択をするべき。厳しい状況だけど、私にできる唯一のことは、全ての義務大会に出ると決めた以上、自分の身体を徹底的にケアすること。幸い私にはそれを支えてくれるチームがいるし、経験も積んできたから、何をすべきかはわかっているけど、これだけケガが多いのはシーズンが長すぎるうえに、戦いが激しすぎるのが原因だと思う」
ちなみに女子ツアーにおいては、トップ10選手は四大大会に次ぐグレードのWTA1000の10大会、WTA500の6大会に出場義務が設けられている。ただ近年はWTA1000の一部トーナメントで開催期間が従来の1週間から2週間に拡張されており、以前よりも選手への肉体的・精神的負担は大きくなっている印象を受ける。過密日程が選手にもたらす影響を決して軽視してはならない――トップをひた走るシフィオンテクの言葉は重く響く。
文●中村光佑
【動画】「中国オープン」大会6日目のハイライト!シフィオンテクVSオソリオは9:02~
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中国オープンは大会のグレードと日程は異なるものの男女共催(男子は9月25日~10月1日、女子は9月24日~10月5日/ATP500・WTA1000)で行なわれており、現地29日には女子3回戦と男子準々決勝の計12試合が実施された。ところがこの日は、女子ではシフィオンテクと対戦したカミラ・オソリオ(コロンビア/同83位)、ロイス・ボワソン(フランス/同41位)、ジェン・チンウェン(中国/同9位)の3名が途中棄権。男子でもヤクブ・メンシク(チェコ/同19位)とロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同9位)の2名がリタイアし、男女合わせて5名が同日に棄権するという異例の事態が発生した。
これまで何度もツアーの過密日程を糾弾してきたシフィオンテクは、上記の異常事態を受け、改めて選手の健康を考慮しないテニス界の現状に強い危機感を示した。彼女は男女問わず上位選手に出場義務が課されているトーナメントの多さに強い不満を抱いており、とりわけシーズン終盤に組まれているアジアツアーでは、移動距離の長さや時差調整の負担も重なり、体力面で過密日程の影響が顕著に表れると指摘している。
「シーズン後半はみんな疲れている。特にアジアツアーは、1年の終わりが近付いている中でまだ全力を尽くさないといけないこともあって、最も過酷だと思う。数年後の自分がどうしているかはわからないけど、出場義務のある大会でもいくつかは辞退する必要が出てくるかもしれない。WTAは義務的なルールを作りすぎて、スケジュールをめちゃくちゃにしてしまっている」
「そもそもトップ選手であってもこれだけの過密日程を完璧にこなせる人はいない。だから私たちは賢くやる必要がある。ルールを過度に気にするのではなく、自分にとって健康的な選択をするべき。厳しい状況だけど、私にできる唯一のことは、全ての義務大会に出ると決めた以上、自分の身体を徹底的にケアすること。幸い私にはそれを支えてくれるチームがいるし、経験も積んできたから、何をすべきかはわかっているけど、これだけケガが多いのはシーズンが長すぎるうえに、戦いが激しすぎるのが原因だと思う」
ちなみに女子ツアーにおいては、トップ10選手は四大大会に次ぐグレードのWTA1000の10大会、WTA500の6大会に出場義務が設けられている。ただ近年はWTA1000の一部トーナメントで開催期間が従来の1週間から2週間に拡張されており、以前よりも選手への肉体的・精神的負担は大きくなっている印象を受ける。過密日程が選手にもたらす影響を決して軽視してはならない――トップをひた走るシフィオンテクの言葉は重く響く。
文●中村光佑
【動画】「中国オープン」大会6日目のハイライト!シフィオンテクVSオソリオは9:02~
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