今年７月の「ウインブルドン」（イギリス・ロンドン／芝コート）で四大大会６勝目を飾り、８月の「シンシナティ・オープン」（アメリカ／ハード／WTA1000）でも優勝した女子テニス元世界ランキング１位のイガ・シフィオンテク（ポーランド／24歳／現２位）が、アジアシーズンで素晴らしいパフォーマンスを見せている。

　先週出場した「韓国オープン」（韓国・ソウル／ハードコート／WTA500）では決勝でエカテリーナ・アレクサンドロワ（ロシア／現11位）とのフルセットマッチを制し、今季３勝目とツアー25勝目をゲット。そして今週第１シードで参戦している「中国オープン」（９月24日～10月５日／中国・北京／ハード）でも初戦の２回戦（シード勢は１回戦免除）で地元勢のユアン・ユエ（中国／同110位）に6-0、6-3で快勝し、３回戦進出を決めた。

　調子の良さを見せているシフィオンテクだが、彼女は今季、決して良いスタートを切ったわけではなかった。昨年末に自身のドーピング違反による約１カ月（2024年９月12日～10月４日）の出場停止処分を受け、世界ランキング１位から陥落したことがメンタルに大きく影響。今年初頭はプレーにも迷いが見られ、思うような結果が出ず苦しい日々が続いた。「年初は世界１位に返り咲きたいと考えすぎてしまっていた」と中国OP開幕前の記者会見で当時を振り返っている。
  　それでも気持ちの切り替えは予想よりも早くできたとのこと。焦りは「数週間で消え」、今は「世界２位だからといって特別なことをしているわけではない」上に、「毎日試合のことを考えているわけでもない」と明かす。

「以前と少し違うのは、年齢と経験が増えたことくらいかな。（調子が悪くなっても）プレースタイルを変えるようなことは良いことではないだろうし、むしろ逆に自分のパフォーマンスには悪影響になる可能性があると思う」

　冒頭の通りウインブルドンで優勝してから完全に復調した印象を受けるシフィオンテク。それでも「シーズン全体は毎日の小さな積み重ね。その都度、より良くなることに集中している」と24歳に慢心はない。会見の最後には「これからも異なるスタイルの選手が出てくると思う。今日うまくいったからといって、残りの試合でもうまくいくとは限らない。どんなチャレンジにも備える必要がある」と今後に向けての並々ならぬ意欲を示した。

文●中村光佑

【動画】シフィオンテクVSユアン・ユエの「中国オープン」２回戦ハイライト

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