現在ケガでツアーを離れている男子テニス元世界ランキング13位のニック・キリオス（オーストラリア／30歳／現661位）がポッドキャスト『The Unscripted Show』に出演。その中で親交の深かった元世界王者のアンディ・マリー氏（イギリス／38歳／2024年引退）との友情に亀裂が生じていると明かした。

　キリオスとマリー氏と言えばかつては男子テニス界きっての“仲良しコンビ”で、ツアー中にも一緒に遊園地に行ったりするなど、公私にわたって行動を共にする姿が頻繁に見られた。

　また以前、キリオスがメンタルヘルスの問題で度重なる自傷行為に及んでいた際には、マリー氏が練習中に彼の手首に傷があることに気付き、救いの手を差し伸べたこともあったほど。片や８歳年上のマリー氏を“兄貴分”として慕っていたキリオスは、23年に出演したイギリスのテレビ番組『Piers Morgan Uncensored』で同氏への感謝の言葉をこう口にしていた。
  「ツアーデビュー以来、アンディは俺のことをずっと気にかけてくれていて、独自路線を走る自分を優しく受け入れてくれたんだ。過去には自傷行為に依存していた俺の手首の傷を見て、『その傷は何だ？』と声をかけてくれたりもした。当時の自分は精神状態が相当ひどく、自分のやり方に固執していて他人の声に耳を傾けようとはしていなかったけど、もちろん俺は彼に本当に感謝しているよ」

　さらにキリオスは、昨年７月に再び『Piers Morgan Uncensored』に出演した際もマリー氏とは「素晴らしい友情を築いてきた」と語っていた。ところが今の２人の関係性はぎくしゃくしているようで、キリオスはいつもの歯に衣着せぬ物言いで、もはやマリー氏が「もう友人かどうかもわからない」とまで明かす。

「今の関係性は同僚みたいな感じかな。以前はもっと親しかったし、彼は俺が本当に困っていた時期に特に支えてくれた１人だった。でも今はあまり話さなくなった。彼に俺のポッドキャストに出演してほしかったけど、彼は偉そうに振る舞ってきた。それが真実さ。正直なところ『なあ、少しは時間を作ってくれよ』って感じではあるけど」

　仲良しコンビに響き始めた“不協和音”――軌道修正にはしばらく時間を要しそうだ。

文●中村光佑

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