イタリアの史上2カ国目の同一国3連覇で幕を閉じた男子テニス国別対抗戦「デビスカップ(デ杯)・ファイナル8」(11月18日~23日/イタリア・ボローニャ/室内ハードコート)。今大会の最大のハイライトと言えるのが、現地22日に行なわれたベルギー対イタリアの準決勝シングルス第2試合だ。
この試合では今季2度のツアー準優勝を経験した26歳のジゾー・ベルグス(ベルギー/世界ランク43位)と、今年7月に初のトップ20入りを果たした23歳のフラビオ・コボッリ(イタリア/現22位)が対戦。ベルグスは第1セットを3-6で落とすも第2セットはタイブレークの末に7-6(5)で取り返し、セットオールに持ち込んだ。
勝負のファイナルセットも互いに譲らず、この日2度目のタイブレークへ突入。ここではデ杯史上6番目に長い計32ポイントにも及ぶ激しい攻防が繰り広げられたが、ベルグスは7本ものマッチポイントを生かせず15-17で敗戦。チームも準々決勝敗退となった。試合後には悔しさのあまりベンチで頭を抱えるベルグスをコボッリが必死に慰めるシーンが見られた。
3時間4分の死闘の末に心を折られかねない苦い経験を味わった26歳。そんな彼に元プロテニス選手で現在もITFマスターズ・ツアー(30歳以上のベテラン選手によるシニアツアー)でプレーする父親のクーン・ベルグス氏(57歳)が送った心温まる励ましのメッセージが反響を呼んでいる。22日に更新した公式X(@KoenBergs)で「親愛なる息子ジゾーへ」と書き出し、次のように綴った。
「私は君がデビスカップのコートに立つ姿を見て、言葉では表せないほどの誇りで胸がいっぱいになった。君はラケットだけでなく、国民の期待という重みも背負い、母国のために全力を尽くした。サービスを打つ姿やコートを全力で駆け抜ける姿、滴る汗が、君の勇気と心の証だった」
「君は自分のためだけにプレーしたのではない。チームメイトや母国、そして君を信じる我々全員のために戦ったのだ。私は君の目の中の炎や強い決意、そして一つひとつのポイントに表れるベルギーへの愛を目のあたりにした。私は父として、君が払ってきた犠牲や果てしない練習量、乗り越えてきた苦悩を知っている。デビスカップという舞台で君は、“献身”の真の意味を世界に示し、全てを出し尽くした。それこそが何よりも大きな勝利なのだ」
その上で最後をこう結んでいる。「君は勝者だ。スコアは関係ない。君は心の強いチャンピオンかつ戦士であり、父親の私を無限に誇らしくさせる息子だ。我々は試合に負けたが、君はテニス界からの“敬意”を勝ち取った。家族でこの美しい瞬間を共有できて本当にうれしく思う。これこそが、私たちが生きる喜びの瞬間なのだ」
ちなみにベルギーはこれまでにデ杯で3度(1904年、2015年、17年)決勝に進出しているが、いずれも優勝は果たせず...。今年も悲願の頂点には届かなかった。
文●中村光佑
【動画】デ杯準決勝、ベルグスとコボッリがぶつかり合った歴史に残る第3セットタイブレーク
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勝負のファイナルセットも互いに譲らず、この日2度目のタイブレークへ突入。ここではデ杯史上6番目に長い計32ポイントにも及ぶ激しい攻防が繰り広げられたが、ベルグスは7本ものマッチポイントを生かせず15-17で敗戦。チームも準々決勝敗退となった。試合後には悔しさのあまりベンチで頭を抱えるベルグスをコボッリが必死に慰めるシーンが見られた。
3時間4分の死闘の末に心を折られかねない苦い経験を味わった26歳。そんな彼に元プロテニス選手で現在もITFマスターズ・ツアー(30歳以上のベテラン選手によるシニアツアー)でプレーする父親のクーン・ベルグス氏(57歳)が送った心温まる励ましのメッセージが反響を呼んでいる。22日に更新した公式X(@KoenBergs)で「親愛なる息子ジゾーへ」と書き出し、次のように綴った。
「私は君がデビスカップのコートに立つ姿を見て、言葉では表せないほどの誇りで胸がいっぱいになった。君はラケットだけでなく、国民の期待という重みも背負い、母国のために全力を尽くした。サービスを打つ姿やコートを全力で駆け抜ける姿、滴る汗が、君の勇気と心の証だった」
「君は自分のためだけにプレーしたのではない。チームメイトや母国、そして君を信じる我々全員のために戦ったのだ。私は君の目の中の炎や強い決意、そして一つひとつのポイントに表れるベルギーへの愛を目のあたりにした。私は父として、君が払ってきた犠牲や果てしない練習量、乗り越えてきた苦悩を知っている。デビスカップという舞台で君は、“献身”の真の意味を世界に示し、全てを出し尽くした。それこそが何よりも大きな勝利なのだ」
その上で最後をこう結んでいる。「君は勝者だ。スコアは関係ない。君は心の強いチャンピオンかつ戦士であり、父親の私を無限に誇らしくさせる息子だ。我々は試合に負けたが、君はテニス界からの“敬意”を勝ち取った。家族でこの美しい瞬間を共有できて本当にうれしく思う。これこそが、私たちが生きる喜びの瞬間なのだ」
ちなみにベルギーはこれまでにデ杯で3度(1904年、2015年、17年)決勝に進出しているが、いずれも優勝は果たせず...。今年も悲願の頂点には届かなかった。
文●中村光佑
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