海外テニス

「僕ら2人の最高成績!」ほとんど組んだことのない従兄弟ペア、名門テニス一家の絆でまさかのマスターズ準優勝!<SMASH>

内田暁

2026.03.15

知る人ぞ知る名門“従兄弟”ペア、リンダークネッシュとバチェロットが、本人たちも予想しない快進撃でBNPパリバ・オープンのダブルスで準優勝した。(C)Getty Images

 高速サービスがレシーバーのラケットを弾き、ボールはフラフラとネット際を漂う。そのチャンスボールが来ることを確信していたかのように、前衛が迷いなくボレーを叩き込んだ。2人の長身選手は、少しおどけた所作も交えつつ、互いの肩を叩き勝利の喜びを分かち合う。

 北米カリフォルニア州で開催中の男子テニスATPマスターズ1000大会「BNPパリバ・オープン」、男子ダブルス準決勝。アルテュール・リンダークネッシュ(フランス)とバレンティン・バチェロット(モナコ)が、決勝へと歩みを進めた瞬間である。

「これがダントツで、僕ら2人が得た最高の成績だよ!」、「プロになってからは、ペアを組んだこともほとんどないんだから」、「僕なんて、ツアーでのダブルスの経験すら稀だし」
 
 準決勝後の会見で、2人は矢継ぎ早に言葉を重ねる。コート上でのプレー同様、オフコートでも息はぴったり。それもそのはず。ダブルスを組むのは久々とはいえ、2人は20年来の友人にして、大学時代の盟友。何より親族――従兄弟なのだから。
 
 2人のストーリーが世間の注目を集めたのは、昨年10月。上海マスターズの決勝が、"従兄弟決戦"になった時だった。

 もっともこの時まで、多くのテニス関係者ですら、2人が親族だとは知らなかっただろう。30歳のリンダークネッシュは、長くツアーやグランドスラム(四大大会)を主戦場とする実力者。ただその彼にしても、マスターズでの決勝進出はこの時の上海が初めてだった。

 他方、当時26歳のバチェロットはランキング100位を切ったことはなく、上海マスターズ参戦時は204位。予選からの参戦だったが、本戦でもホルガ・ルネやノバク・ジョコビッチを破り、まさかの決勝進出で一躍脚光を浴びたのだ。しかもその決勝の相手が、同じくキャリア最高のテニスを見せる従兄となれば、人々の関心と共感を呼ぶのは必然だった。

 とはいえフランスのテニス関係者の間では、2人が親族なのは有名な話だったそう。そもそも"リンダークネッシュ家とその親族"は、国内最大の華麗なるテニス一家だったのだ。

「特にリンダークネッシュの家系はすごくて、彼の両親も、祖父母も、そして曾祖父母もテニス選手だったんだから!」

 笑顔でそう教えてくれたのは、『レキップ』紙のリュシル・アラール記者。以下は、彼女が取材を重ね執筆した記事からの引用である。
 
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名門リンダークネッシュ家の系譜