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【伊達公子】人間不信に陥った中で世界4位に到達できた要因<SMASH>

伊達公子

2026.04.17

「プライベートの時間は本当に大切でした」と言う伊達公子さん。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 テニスのトップ選手たちが、レジェンドコーチやサイコロジスト(心理士)をチームに入れて、メンタル面の負担を減らす努力をしています。私はファーストキャリアの時、導いてくれるコーチには出会えず、メディアとの確執などで人間不信に陥っていました。

 そんな中で極度の鬱にならずにテニスに集中することができたのは、友達の存在のお陰です。試合に勝っても負けても変わらない人たちとの時間でリセットしていたのです。だからこそ、プライベートの時間は本当に大切でした。

 外食する時は、レストラン側も気を使って目立たない席にしてくれたりもしましたが、見つかってサインをお願いされることもありました。当時は飛行機と新幹線以外はタクシーか自分の車しか使わなかったのですが、プライベートな時間はメンタルのバランスを整えるのに必要な癒しの時間でしたから、そのバランスを保つのが難しかったですね。

 元々テニス選手は暇な時間が少ないんです。だからプライベートの時間を捻出するのも苦労します。私は友人との時間が必要でしたので、テニスに良い影響が出ないものにエネルギーを注ぐということは極力しないようにしていました。
 
 パーティーなどにもあまり行きませんでしたし、スポンサーのことも最低限にしていたのです。露出度を上げることではなく、テニスコートで表現することが目的なので、その軸はブラさないようにしていました。他の事に囚われて、テニスが崩れては意味がありませんから。

 ファーストキャリアの時は常にどう自分を守るかを考えていました。それが、あまり話さず、笑わず、メディア嫌いの人物像を演じることであり、不要な関りを減らしてプライベートな時間を確保することでした。バリアを張って自分を守らなければ耐えられなかったのです。

 パソコンも、携帯もない時代だったため、孤独な戦いです。部屋に帰って泣くこともありましたが、そういうことを乗り越えて世界4位にまで行けたのは、考えることを植え付けてくれた小浦猛志コーチのお陰です。そして、小浦さんのところを飛び出した後は、「それで成績が悪くなった」と言われるのが嫌で必死で戦いました。意地ですね。

 決してすごくメンタルが強いわけではありませんが、何かを成し遂げるための我慢強さ、何かをやるための心の強さはあったのだと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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