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海外テニス

復帰の「目途は立っていない」という錦織は控えに。3試合を戦う新エース・内山靖崇の覚悟とは【男子テニス/デビスカップ予選】

内田暁

2020.03.05

大舞台でエースの重責を担う内山(左)。錦織(右)は16年ウクライナ戦以来のデ杯出場を見送った。(C)GettyImages

大舞台でエースの重責を担う内山(左)。錦織(右)は16年ウクライナ戦以来のデ杯出場を見送った。(C)GettyImages

 多くの人にとって、「やはり」と思えるオーダー発表だった。

 11月にマドリードで開催されるデビスカップ・ファイナルへの出場権を懸けた、デ杯予選の日本対エクアドル戦。そのオーダーを決めるにあたり、日本チームがあらかじめ提出した出場選手は、シングルス1が内山靖崇(北日本物産)、シングルス2が添田豪(GODAI)。そしてダブルスが、内山とマクラクラン勉(イカイ)。そこには、メンバー入りしている錦織圭(日清食品)の名前はなかった。

「だいぶヒジは治ってきたが、体調面がマックスではない。自分の身体をもう少し鍛えて、自信がついてから挑もうと思っています」
 現状をそのように語る錦織は、「まだ明後日(大会2日目)に出る可能性もあるので」と含みを持たせながらも、復帰時期に関しては「目途は立っていない」とも打ち明けた。

 キャプテンの岩渕聡にしてみれば、就任以来、最も頭を悩ませた選手選考だっただろう。世界中を震撼させているコロナウイルスの影響で、そもそも開催そのものが危ぶまれた。日頃、ツアーを主戦場として世界を転戦する選手たちにとり、この時期に日本に滞在することのリスクがいかに大きいかも、十分に理解している。

 その中で、一度はメンバー入りした西岡良仁(ミキハウス)がチームを離れて渡米。代わりに緊急招集されたのは、現在インディアンウェルズで開催中のチャレンジャーに出場するため、アメリカにいた綿貫陽介(日清食品)である。
 
「こういう状況もあり、今回はいつも以上に難しい選手選考だった。何が一番の答えかわからないところもあるなか、その都度、選手としっかり話し合い、最終的には選手たちが日本代表としてこの舞台で戦いたいという気持ちを示して集まってくれた」

 苦渋のプロセス、そしてこのメンバーで戦う決意を表情にも滲ませながら、岩渕は「錦織と西岡が今回はいませんが、強いチームが揃っている。自信を持ってエクアドルに臨みたい」と語気を強めた。

 その西岡と錦織に代わって、単複でエースの大役を担うのが内山だ。現在のシングルス・ランキングは90位。昨シーズンの躍進で戦いのステージを上げ、来週の火曜日にはインディアンウェルズ・マスターズの予選に参戦予定である。今回のデ杯はスケジュール的に厳しく、アメリカ入国の規制も危惧されるなかで、一度は「空港に向かおうと思ったこともあった」ことを明かした。

 それでも「色々と状況を考え、デビスカップに自分がどれくらい出たいかを考えて、残るという選択をした」と断言。弟分の西岡とは、東京で食事をした際に「本当に頑張ってください、お願いします」と想いを託されたという。西岡の葛藤を誰よりも理解できるだけに、内山は「その言葉を胸に戦いたいと思います」と表情を引き締めた。
 

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