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海外テニス

走力が強化された大坂なおみ、ウインブルドン3回戦進出!「動きとスピードには、今はけっこう自信がある」<SMASH>

内田暁

2026.07.02

フットワークを強化したことで苦手だった芝コートでプレーに余裕が生まれたという大坂が、ウインブルドンで3回戦へ駒を進めた。(C)Getty Images

フットワークを強化したことで苦手だった芝コートでプレーに余裕が生まれたという大坂が、ウインブルドンで3回戦へ駒を進めた。(C)Getty Images

 快足を飛ばしドロップショットに追いつくと、頭上を越えていく相手の返球を、彼女は自信を持って見送った。

 第1セットを6-3で奪取し、第2セットもゲームカウント4-2でリードしていたリターンゲーム。このプレーで再びブレークを奪った時、事実上の勝負は決しただろう。ドロップショットに鋭く反応し、余裕を持って打ち返す軽快な足運びこそが、彼女の充実度を象徴する。

 テニス四大大会の「ウインブルドン」の女子シングルス2回戦。大坂なおみ(世界ランキング14位)が、6-3、6-2でアナスタシア・ガサノバ(ロシア/同225位)に快勝し、同大会での自己最高戦績に並ぶ3回へと駒を進めた。

 興味深いスタッツがある。

 この試合での両者のサービスエースやウイナーを比べた時、大坂が勝っているのは想像に難くないだろう。ラリーでのポイント獲得率でも、大坂が大きく上回る。ただやや意外なのは、ラリーの長さと獲得率の連動性だ。大坂が最も高い78%の獲得率を記録したのは、ラリーが9本以上続いた時。そのロングラリーでの強さを裏付けるように、試合全体の走行距離でも、大坂が1051メートル対922メートルでリードしているのだ。

 これらの数字が端的に物語るのは、大坂の高い走力。そしてこの点こそが、芝の前哨戦でも準優勝した、大坂の好調の要因だ。

 今シーズンから大坂は、理学療法士/ストレングス&コンディショニングコーチのロビー・オオハシ氏をチームに招いた。オオハシ氏は、ハンマー投げの室伏広治氏の全盛期を支え、錦織圭とも13年間共に戦ってきたこの道の第一人者。そのオオハシ氏に大坂が求めたのは、「フットワークの向上」だったという。
 
 とりわけ芝でのフットワークは、大坂の長年の課題だった。WTAツアーを主戦場とし始めた18歳の頃、大坂はサービスや強打が生きる芝を、得意だと思っていたという。だが転戦を重ね、他のサーフェスでの結果が出るようになるにつれ、芝の難しさを知る。バウンドが低く足元も不安定な芝の上では、なかなか理想のポジションで打てない。ムリな動きを重ねては、多くのケガも経験した。

 その彼女が先週の「バート・ホンブルク・オープン」では、4試合連続ストレート勝利で芝大会初の決勝へ。決勝戦は足裏の痛みのため途中棄権したが、タイトル以上の自信と手応えを携えて、ウインブルドン入りしていた。

 大会開幕前日の会見で、大坂はキャリア最高の芝シーズンを送れている訳を、フットワークに求めた。

「ロビー(・オオハシ氏)と重点的に取り組んできたのは、体勢を低く保つこと。そしてしっかり足で芝を蹴ること。外見的に変わっているかはわからないけれど、重心を低くし速く動くことに取り組んできた」

 その成果は、結果が何より雄弁に物語っている。今大会の初戦を6-1、7-5で勝った時も、大坂は「フットワークは良いし、自信もついてきている。未来の展望は明るい」と言った。

 その予感の正しさを証明するように、2回戦も1時間7分の快勝。

「自分のフットワークと持久力を信じることができているので、常に全力でボールを打つ必要がなくなった。相手に左右に振られても、ボールを深く返してリセットし、ラリーをまた組み立てられる。動きとスピードには、今はけっこう自信がある」

 無理をせず、走りながらもラリーを続け、そして機を見てトリガーを引く。その帰結こそが相手を大きく上回る30本のウイナーと、相手より少ない18本のエラーの真相だ。

 なお2回戦の翌日の7月2日は、愛娘の3歳の誕生日。娘の成長に自身の成熟も重ねつつ、大坂は自己最高の先を目指す。

現地取材・文●内田暁

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