大会最終日分まで用意されていたという東京スペシャルバージョンの衣装は、残念ながら2パターンのお披露目で終わってしまった。
東京都・有明テニスの森で開催中の「東レ パンパシフィックオープンテニス」(WTA500)。その2回戦で大坂なおみが、主催者推薦枠で出場のミア・ポハンコバに、3-6、5-7で敗れた。
18歳のポハンコバは、昨年のウインブルドン・ジュニアを制した期待の若手。世界ランキング144位という数字は、彼女の実力を正確に反映してはいないだろう。
身長は173センチと、昨今の女子テニス界においては必ずしも大柄ではない。ただ身体を大きく使い、ラケットのスイートスポットでクリーンにボールを打ち抜く能力に長ける。それも強打だけでなく、高い軌道のスピンボールや、サイドラインぎりぎりに落ちるショートクロスなど、ショットバリエーションが豊富だ。
何より大坂に憧れ、「子どもの頃からナオミのプレーをたくさん見てきた」という彼女には、大坂がどこにボールを打ってくるかがわかっているようでもあった。会見の席では「ここで詳細を語るわけにはいかないけれど...」と前置きしつつ、コーチと綿密な戦略を練っていたことを明かす。その策が奏功したことは、結果が雄弁に物語っているだろう。
対する大坂は、相手の情報をほとんど持たない中での試合だった。左右に振ることを意識したというが、「腕を長く使ってボールに届き、さらにショートアングルやスピンショットを打ち返してくることに驚いた」とも言う。事前情報や作戦立案等の準備においては、相手が優位な面もあっただろう。
ただそんな若い相手の姿は、かつての自分と重なるものでもあった。
「私も過去には同じように、尊敬する選手たちと戦ってきた。相手は私のことをよく知り、逆に私は彼女のことを全く知らない難しさもあったけれど、それは若い頃の私が得てきた恩恵でもあるのだから」
セリーナ・ウイリアムズら憧れの選手に立ち向かった若き日の喜びや興奮を、思い出しただろうか。
「憧れの選手だと言ってもらえるのは光栄だし、こういった挑戦を受けるのも楽しいこと。これから先、ぜひ彼女とまた一戦交えたいし、その時は違った戦いができるんじゃないかな」
そう言い大坂は、穏やかにほほ笑んだ。
敗戦は、常に悔しいものではあるだろう。ただこの日の大坂は、試合後の会見でも落ち着きはらっていた。
「今は平穏な気持ち。数年前だったら物凄く落ち込んでいただろうけれど、今は、こういう日もあると冷静に受け止められている。それに、まだまだ成長の余地があるというのは素晴らしいこと。だって、こうやって生きているんだもの」
それが、今シーズン最後の試合を、日本で終えた心境だという。
シーズンが終わったとはいえ、テニス選手のオフは短い。「たぶん1週間、長くて2週間」の完全休養を経た後に、すぐに来シーズンに向けたトレーニングに入る予定だという。
ただその前に...「数日東京に滞在して、シャイ(3歳になる娘)をサンリオピューロランドに連れていこうと思っているの!」
人生を楽しみ、成長し続ける――。それこそが彼女の言う、「2026年シーズンを通して得た、最大の収穫」だ。
取材・文●内田暁
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東京都・有明テニスの森で開催中の「東レ パンパシフィックオープンテニス」(WTA500)。その2回戦で大坂なおみが、主催者推薦枠で出場のミア・ポハンコバに、3-6、5-7で敗れた。
18歳のポハンコバは、昨年のウインブルドン・ジュニアを制した期待の若手。世界ランキング144位という数字は、彼女の実力を正確に反映してはいないだろう。
身長は173センチと、昨今の女子テニス界においては必ずしも大柄ではない。ただ身体を大きく使い、ラケットのスイートスポットでクリーンにボールを打ち抜く能力に長ける。それも強打だけでなく、高い軌道のスピンボールや、サイドラインぎりぎりに落ちるショートクロスなど、ショットバリエーションが豊富だ。
何より大坂に憧れ、「子どもの頃からナオミのプレーをたくさん見てきた」という彼女には、大坂がどこにボールを打ってくるかがわかっているようでもあった。会見の席では「ここで詳細を語るわけにはいかないけれど...」と前置きしつつ、コーチと綿密な戦略を練っていたことを明かす。その策が奏功したことは、結果が雄弁に物語っているだろう。
対する大坂は、相手の情報をほとんど持たない中での試合だった。左右に振ることを意識したというが、「腕を長く使ってボールに届き、さらにショートアングルやスピンショットを打ち返してくることに驚いた」とも言う。事前情報や作戦立案等の準備においては、相手が優位な面もあっただろう。
ただそんな若い相手の姿は、かつての自分と重なるものでもあった。
「私も過去には同じように、尊敬する選手たちと戦ってきた。相手は私のことをよく知り、逆に私は彼女のことを全く知らない難しさもあったけれど、それは若い頃の私が得てきた恩恵でもあるのだから」
セリーナ・ウイリアムズら憧れの選手に立ち向かった若き日の喜びや興奮を、思い出しただろうか。
「憧れの選手だと言ってもらえるのは光栄だし、こういった挑戦を受けるのも楽しいこと。これから先、ぜひ彼女とまた一戦交えたいし、その時は違った戦いができるんじゃないかな」
そう言い大坂は、穏やかにほほ笑んだ。
敗戦は、常に悔しいものではあるだろう。ただこの日の大坂は、試合後の会見でも落ち着きはらっていた。
「今は平穏な気持ち。数年前だったら物凄く落ち込んでいただろうけれど、今は、こういう日もあると冷静に受け止められている。それに、まだまだ成長の余地があるというのは素晴らしいこと。だって、こうやって生きているんだもの」
それが、今シーズン最後の試合を、日本で終えた心境だという。
シーズンが終わったとはいえ、テニス選手のオフは短い。「たぶん1週間、長くて2週間」の完全休養を経た後に、すぐに来シーズンに向けたトレーニングに入る予定だという。
ただその前に...「数日東京に滞在して、シャイ(3歳になる娘)をサンリオピューロランドに連れていこうと思っているの!」
人生を楽しみ、成長し続ける――。それこそが彼女の言う、「2026年シーズンを通して得た、最大の収穫」だ。
取材・文●内田暁
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