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海外テニス

テニスの最長試合をジャッジしたラーヤニ氏。「特別な感覚」審判台の上から見た11時間5分を振り返る

東真奈美

2020.07.06

スコアボードの前で記念撮影するイズナー(左)、マウ(中央)、ラーヤニ氏(右)。(C)GettyImages

スコアボードの前で記念撮影するイズナー(左)、マウ(中央)、ラーヤニ氏(右)。(C)GettyImages

 2010年のウインブルドン男子1回戦、イズナー対マウといえば、テニスファンなら誰もが知る11時間5分の伝説的な試合だ。3日間に及ぶこの死闘は、それまで6時間33分(2004年全仏1回戦、サントロ対クレモン)だった最長試合を倍近く上回り、2度と破られることがないであろう偉大な記録を打ち立てた。

 この試合は、選手たちはもちろん、その場に居合わせたすべての人にとって特別な経験となった。3日間を通して主審を務めたモハメド・ラーヤニ氏も例外ではない。ATP(男子テニスプロ協会)が、当時の心境について彼に話を聞いた。

「初日は、特別なことはなく、他と変わりない普通の試合でした。試合開始が18時過ぎだったので、セットカウント2−2の時点で日没順延になりましたが、ウインブルドンではよくあることです」と、ラーヤニ氏は振り返る。そんな調子で何気なくスタートした2日目の試合だが、試合が進むにつれて「まさか?」と思い始めたという。

 さらにこの日は、ラーヤニ氏にとってもうひとつ大きな出来事があった。試合開始の15分前に、モロッコ・タンジェにいる妻から電話があり「男の子よ!」と、息子が生まれる知らせを受けたのだ。喜びも束の間、試合直前のため妻に「1時間後には試合が終わるから、それからまた話そう」と言って電話を切ったラーヤニ氏だったが、その後、妻は7時間以上も電話を待つことになってしまったそうだ。
 
 試合は相変わらず一進一退の攻防が続き、再度の日没順延。2日目の夜を迎えたが、なかなか寝付けなかった。周りの人々も、記録についてはもちろん、この試合の話題で持ちきりとなり、歴戦の審判を務めたラーヤニ氏にも、それは「特別な感覚だった」と話す。

 彼は、選手がボールを打つたびに、「集中しろ。何時間もかけた試合を、自分のミスジャッジで台無しにしたくないだろう?」と自分に言い聞かせた。集中のあまり、食事や飲み物、トイレ休憩さえ考えることもしなかったという。

 そうして3日目がスタートして1時間が過ぎたころ、ついに勝利の女神がイズナーに微笑んだ。しかし、対戦相手がマウだったからこその名勝負と言えるだろう。また、試合を見届けたラーヤニ氏、線審、ボールキッズたち、そしてコート周りの観客も、外してはならないこの熱いドラマの登場人物なのだ。

 試合を通して、選手から一度の抗議も受けなかったことが『1番の誇り』だと話すラーヤニ氏。この試合が「キャリアの中で最高の雰囲気でした」と振り返った。

文●東真奈美

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