専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

32歳のフェデラーに変化をもたらしたレジェンド、エドバーグが語る当時のエピソード【海外テニス】

誉田優

2020.07.11

エドバーグ(右)が帯同していた2014年から、フェデラー(左)のプレースタイルが変わり始めた。(C)GettyImages

エドバーグ(右)が帯同していた2014年から、フェデラー(左)のプレースタイルが変わり始めた。(C)GettyImages

 トップ選手たちが元トップ選手のレジェンドコーチをチームに招聘するようになってから久しい。レジェンドコーチたちは、どのような役割を果たしているのか。ロジャー・フェデラーのコーチを2年間務めたステファン・エドバーグが、『ユーロスポーツ』のビデオインタビューで、彼らの関係性について話した。

「もちろん、ロジャーからコーチを頼まれた時は光栄だったよ。ツアーを一緒に回る前に、ドバイで1週間、互いを知るために共に過ごしたんだ。テニス大使のようであるロジャーと一緒にいることは素晴らしかった。もちろん、テニスのこと、戦略についてたくさん話しをしたよ」

 現役にして生ける伝説とまで言われるフェデラーに、エドバーグは何をコーチしようとしていたのか。ツアーを一緒に回り始めたのは2014年からでフェデラーは32歳。前年の成績は芳しくなく、2003年から常に4大会以上で優勝していたフェデラーが、1大会しか優勝できていなかった。

「彼は自分のテニスを変えようとしていた。私をチームに招いた理由の1つは、そのきっかけやアイデアを得たかったからだろう。同じような立場で決勝に進んで、テニスを変えようとしている人が周りにいることはいいことだ。年を取ればテニスを変える必要がある。その点は重点的に取り組んだ」

 確かにエドバーグがコーチに就いてから、フェデラーのテニスはより攻撃的に進化していった。その変化をもたらした要因の1つがラケットの変更だとエドバーグは言う。今まで90平方インチの小さいフェイス面積のラケットを使用していたが、2014年からは97平方インチへとサイズを大きくしている。
 
「振り返ってみると、ラケットを最新のものに変えたことが、鍵だった。彼の動きがアグレッシブになったからね。それは必要な変化だったんだ」

 2014年、フェデラーは4大会で優勝し、その後もタイトル数を増やし続けている。そのきっかけとなった年に、レジェンドコーチのエドバーグがチームにいたことは、大きな意味があったに違いない。

 ノバク・ジョコビッチのコーチを3年間経験したボリス・ベッカーも、『ユーロスポーツ』のビデオインタビューに答えた。主に取り組んでいたのは、メンタル面と大きな試合へのアプローチの仕方だったと言う。そして少しだけロッカールームでの様子を教えてくれた。

「私が初めて帯同した時のこと。すでにノバクとロジャーはライバル関係にあったけど、試合前に、ステファンと私と4人で雑談したんだ。試合後のロッカールームも奇妙な風景だったと思うよ。選手2人がコーナーから、自分のコーチを見ていたんだ。公園を散歩しながらしゃべっているような、私とステファンの姿をね」

 レジェンドコーチたちが持ち込んだ空気感。それは勝敗が明確に表れる厳しい勝負の世界において、少しだけ緊張を和らげる役割もあるのかもしれない。

文●誉田優
フリーライター。早稲田大学スポーツ科学部卒業。
Twitter:yu__honda/Instagram:yu__honda

【PHOTO】史上最強の王者!絶大な人気を誇るロジャー・フェデラーの「ウインブルドン2019」
 

DAZNなら「プロ野球」「Jリーグ」「CL」「F1」「WTAツアー」が見放題!充実のコンテンツを確認できる1か月無料体験はこちらから

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号