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【テニスギア講座】ラケットの「モデルチェンジ」って、何が変わるの? 新製品が出たらここに注目!

松尾高司

2020.07.25

30年以上にわたってモデルチェンジを繰り返してきた、ヘッド『プレステージ』のようなラケットもある。写真:THE DIGEST写真部

 テニスラケットのモデルチェンジは、大きく次の2つに分かれます。
◆フルモデルチェンジ=ターゲットや基本コンセプトは引き継ぐが、形状などが変わる
◆マイナーチェンジ=前モデルとほぼ同形状。コスメや部分的な変更で新しさを訴求

 一般にモデルチェンジと言えば、主に2年ごとに行なわれるマイナーチェンジを指します。フルモデルチェンジはメーカーにとって大きな賭けです。大きく変更することで、それまでの固定ユーザーを手放してしまうかもしれないからです。

 その点、マイナーチェンジには安心感があります。バボラの『ピュアドライブ』のように、モデル名が全く変わらない場合もあれば、ヘッドの『グラフィン360+』など新たな記号が加わって、少しずつ変わるケースもあります。もちろんコスメは大きく衣替えすることがほとんど。一目見て、それが最新モデルの証となるからです。

 では、マイナーチェンジの変更点を詳しく見ていきましょう。まず「目的」としては「1:パワーレベルの向上」「2:スピン量の増加」「3:打球感のマイルド化」の3つが大きな柱です。時代によって順位に違いがありますが、この3つを重視してラケットの改良は行なわれます。
 
 それを踏まえて、変更される「スペック」の具体例を挙げると――
◎新素材の導入
◎部分的形状変更
◎グロメットなど付属パーツの変更
◎ストリングパターン変更
◎コスメティック変更

 最近では少なくなっている新素材導入ですが、地道に行なわれており、プリンスの「テキストリーム×トワロン」や、ヨネックス「エヌアムド」などは、フレームのしなりを速く戻す素材として注目されています。

 部分的形状変更というのは、フレーム厚の微妙な変更や、空気抵抗を減らすための形状変更です。外観では変化がなくても、内部のカーボン積層構造が変わり、スイングウェイトや打球感が変わっていることもあります。

 振動対策や空気抵抗削減対策としてグロメットを刷新したり、ガットのたわみ幅を広げる対策をグロメット構造に組み込んだりします。そして意外に大きいのがストリングパターン。この変更が、打球効果やフィーリングに大きな影響を与えることがあります。

 このように、様々なスタイルがあるモデルチェンジ。新製品を見たら、どこがどう変わったのかを観察し、こまめに情報を拾ってみてください。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2018年5月号より抜粋・再編集

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