海外テニス

全米で元世界王者マリーを破った20歳、オジェ-アリアシムの超絶スマッシュの秘密【海外テニス】

スマッシュ編集部

2020.09.05

今季はすでに2大会で準優勝しているオジェ-アリアシムの“らしさ”が垣間見られるジャンピング・スマッシュ。写真:THE DIGEST写真部、(C)Getty Images

 14歳でチャレンジャー(世界ツアー下部大会)に参戦し始め、17歳でツアーデビューを果たした早熟の天才。現在まで5度にわたりツアー決勝進出を果たし、今年の全米オープンでは元世界1位のアンディ・マリーをストレートで撃破している20歳だ。

 今回この「若い、うまい、強い」の三拍子そろった選手に注目。「ヤングスターのスゴ技」について、かつて自身も史上最年少(17歳9カ月)で全日本テニス選手権を制覇している谷澤英彦氏に解説をしてもらった。

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 彼のプレーは打ちまくるスタイルで、相手にしてみれば受ける圧が強烈だ。無論、打ちすぎるせいでプレーが単調になり負ける時もあるが、今後さらに経験を積めば高いポテンシャルを有するだけにトップ10入りも見えてくるに違いない。

 そんな彼の才能を垣間見ることができるのが、『ジャンピング・スマッシュ』を打つ際の身体の使い方だ。

 注目したいのは足の使い方。スマッシュを決めるべく高く上がったロブの落下点に素早く指導すると、右足でボールを待ち構え打点に向かって踏み切っている。そしてインパクト後は左足着地でフィニッシュを迎える。

 このように空中で左右の足を入れ替えれば、身体を正面に向けたまま打ち終えるので、たとえスマッシュが1発で決まらなくても相手の返球に素早く対応できる。
 
 こうした「打球後の展開」を想定した身体の使い方は見事だ。むき出しの攻撃性に秘められた絶妙なバランス感覚や次のプレーを意識した動き。まさにオジェ-アリアシムらしいシーンといえるだろう。

 フェリックス・オジェ-アリアシム(Felix Auger-Aliassime)
 2000年8月8日生まれ(20歳)。カナダ出身。身長193cm、右利き、バックハンドは両手打ち。「次代の旗手」として高い評価を得ている逸材。19年2月のリオ・オープンではATPツアー・500シリーズで最年少の決勝進出を記録するなど準優勝が3回。20年は全米までに2度準優勝を手にしている。自己最高ランキング17位(19年10月14日付)

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2019年12月号から抜粋・再編集

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