テニスのショットの中でも、サービスのフォームは難易度が高い。実はプロでさえ、最初から完璧なフォームで打てていたわけではない。改良しながら自分に合うフォームを探求しているのだ。プロがどのようにフォームを変えて効果を上げたのか、史上最年少で全日本選手権を制した谷澤英彦氏に解説してもらった。プロの変更点を参考にして自分に適したより良いサービスフォームを手に入れよう。
4回目は2020年全米オープン1回戦で、大坂なおみとの対戦が決まっている土居美咲。2010年と2016年のフォームを比較した。2010年のランキングはまだ100位台だが、2016年はウインブルドンで4回戦に進出し、キャリハイとなる30位をマークした年だ。
フォームを比較すると、テイクバックを大胆に変えているのがわかる。
「2010年はトスを上げた後に利き腕を上げていましたが、2016年では先に利き腕をセットしてからトスを上げています。2010年のテイクバックも決していけないわけではありません。ただ、トスを上げてから打つまでに時間的な余裕がないぶん、タイミングが取りづらかったのでしょう。
先にラケットをセットしておくフォームは、トロフィーポーズを意識させる練習ではよく行ないます。実際にこのフォームで打つプロは少ないですが、スムーズな腕の振りとタイミングの合わせやすさを重視したゆえの選択だと考えられます。トロフィーポーズがしっかりと作れるとヒジが先行してスイングするフォームが可能になるのです」
現在、土居のフォームは2010年のように、トスを上げた後にラケットを上げるスタイルに戻っている。谷澤氏が言うように、トロフィーポーズを意識するために、一時的に改良していたものかもしれない。このラケットを先にセットするフォームは、錦織圭もジュニア時代に行なっていたことがあり、サービスのフォームを改善したい時には有効な手段である。
また、一般プレーヤーでは、トスやフォームが安定しない場合に、このスタイルで打つことも多い。サービスが不安定な人は、このフォームで練習してみると改善されるかもしれない。
解説=谷澤英彦(マサスポーツシステム)
1989年に17歳9カ月の史上最年少で全日本選手権を制覇。現役時代はデ杯日本代表に名を連ね、引退後は守屋宏紀をジュニア時代から育てた。現在は橘テニスアカデミーでジュニア育成に携わる。日本テニス協会公認S級エリートコーチ。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2017年9月号から抜粋・再編集
【連続写真】土居美咲の2010年と2016年を比較した、フォームの変化がわかりやすい連続写真はこちら
4回目は2020年全米オープン1回戦で、大坂なおみとの対戦が決まっている土居美咲。2010年と2016年のフォームを比較した。2010年のランキングはまだ100位台だが、2016年はウインブルドンで4回戦に進出し、キャリハイとなる30位をマークした年だ。
フォームを比較すると、テイクバックを大胆に変えているのがわかる。
「2010年はトスを上げた後に利き腕を上げていましたが、2016年では先に利き腕をセットしてからトスを上げています。2010年のテイクバックも決していけないわけではありません。ただ、トスを上げてから打つまでに時間的な余裕がないぶん、タイミングが取りづらかったのでしょう。
先にラケットをセットしておくフォームは、トロフィーポーズを意識させる練習ではよく行ないます。実際にこのフォームで打つプロは少ないですが、スムーズな腕の振りとタイミングの合わせやすさを重視したゆえの選択だと考えられます。トロフィーポーズがしっかりと作れるとヒジが先行してスイングするフォームが可能になるのです」
現在、土居のフォームは2010年のように、トスを上げた後にラケットを上げるスタイルに戻っている。谷澤氏が言うように、トロフィーポーズを意識するために、一時的に改良していたものかもしれない。このラケットを先にセットするフォームは、錦織圭もジュニア時代に行なっていたことがあり、サービスのフォームを改善したい時には有効な手段である。
また、一般プレーヤーでは、トスやフォームが安定しない場合に、このスタイルで打つことも多い。サービスが不安定な人は、このフォームで練習してみると改善されるかもしれない。
解説=谷澤英彦(マサスポーツシステム)
1989年に17歳9カ月の史上最年少で全日本選手権を制覇。現役時代はデ杯日本代表に名を連ね、引退後は守屋宏紀をジュニア時代から育てた。現在は橘テニスアカデミーでジュニア育成に携わる。日本テニス協会公認S級エリートコーチ。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2017年9月号から抜粋・再編集
【連続写真】土居美咲の2010年と2016年を比較した、フォームの変化がわかりやすい連続写真はこちら